猫族の姫ニャムは婚約するも裏切られる。~それでも愛は消えず、ただ、すべてを糧とし強くなる~
猫族の姫ニャムは、族同士の関係を改善するため、蛇族の族長の息子であるエリと婚約した。
二つの種族の者が結ばれることで、族の関係の未来を良いものへ変える。
そういう話で企画された。
ニャムもエリもそのことを分かって婚約した。
だがエリは契約を破った。
ニャムという婚約者がいるにもかかわらず、同じ蛇族の女性と深い仲になっていたのだ。
そのことを知った日、ニャムは泣きながら実家へ帰った。
契約だとしても。
族のための婚約だとしても。
それでもニャムはエリを愛してしまっていたのだ。
涙するニャムを見て激怒した猫族。ニャムの父はすぐにエリとの婚約を破棄し、蛇族を滅ぼすことを決意する。関係は完全に壊れてしまった。猫族は蛇族の村へ攻め込み、あっという間に蛇族を滅ぼした。
「ニャム、もうお前を泣かせる者はいないぞ」
「エリ……」
「あんな男のことはもう忘れるがいい」
「……はい、お父様」
ニャムはエリを愛している。
今でも。
でもその人はこの世にもういない。
彼もまた蛇族の一員として滅んだのだ。
悲しみを越え、ニャムは立ち上がる。
いつまでも泣いてはいない。
その身に起きたこと、すべてを糧に、彼女はどこまでも強くなる。
◆終わり◆




