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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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俺より強い女とか無理だわ萎えるわ、とのことで、婚約破棄されました。~ここからはそれぞれの道を行きましょう~

 冒険者として活動するようになってから二年半、私はついに、ランキングトップテンに入ることができた。


 トップテンというのは十本の指のようなもの。

 この国で活動する星の数ほどいる冒険者の中の最高ランクのようなものだ。


 女性でありながらそれに入ることができた私は多くの人たちから祝福された。それはまるで、人生の一番輝かしい瞬間であるかのようで。私は今幸福の時代のただなかにいる、そう思っていた。


 だが、祝いの会の翌日、まさかの展開が待っていた。


「お前との婚約、破棄するわ」


 三つ年上の婚約者ブルドがそんなことを言ってきたのだ。


 祝福で浮かれていたからこそ衝撃は大きくて。

 崖から突き落とされるような感覚があった。

 落ちろ、そう言われたような、そんな不思議で気味の悪い感覚。


「俺より強い女とか無理だわ萎えるわ」

「何なの、それ……」


 ブルドの目つきは驚くほど冷ややかだ。


「言ったままの意味だよ」

「……そんなの」

「とにかく、俺より強い女は生理的に無理だから。じゃあな、ばいばい」


 婚約破棄された私は、誰かと共に生きることは諦めた。


 そして冒険者の道により一層集中して打ち込むことにした。


 私にはそれしかない。けれども私にはそれがある。何もない人よりかはできることがある、だからその道を強い心で進んでいこうと思ったのだ。


 恋も、愛も、欲さない。


 ただ強く在り。

 ただ強く生きる。


 そう心を決めた。



 ◆



 その後ランキング一位になることができた。

 だがちょうどその頃王子に見初められて。

 最初は断っていたのだが王子からの圧が凄く断れなくなってしまったので彼と共に生きてゆくことにした。


 ――と、最初はそんな感じであったが、今は夫であり王子でもある彼を愛している。


 彼は私が強くても悪く言わない。

 それどころか褒めてくれる。

 かっこいい、と言ってくれるし、尊敬する、とも言ってくれる。


 そんな彼が好きだ。


 私は彼を護って生きていきたい。


 愛しているから。

 愛おしいから。

 そして感謝しているから。


 私にできること、それは、彼を護ることだ。


 ちなみにブルドはというと。

 あの後生まれ育った町を離れて女遊びに精を出していたところ魔獣の襲撃に遭い死亡してしまったそうだ。


 その亡骸は指一本すら遺らず。

 彼の最期は魔獣の餌になるという惨いものだったらしい。



◆終わり◆

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