幼馴染みは変わってしまいました。なので私は私の道を行きます。
「大きくなったら結婚しような!」
「うん!」
それは――幼馴染みリベアとの過去の記憶だ。
私たちは仲良しだった。
いつも一緒にいた。
――けれど。
「お前と結婚? はぁ? 無理無理、ないわ~」
剣士として成功したリベアはそんなことを言い出した。
「俺はもっと美女がいいんだよ。じゃあな! ばいば~い」
「ちょ、待って……」
「お前みたいな地味女は地味なやつと結ばれろよ!」
◆
あれから二年、私は実家の防具屋を継ぐこととなった。
父が亡くなったからだ。
けれども今はとても楽しい。
とにかく仕事が楽しいのだ。
大変なこともあるけれど、それすらも越えて、毎日を幸せだと思える。
で、最近聞いたのだが、リベアは戦死したらしい。
夜中に用を足していたところ魔物に襲われたそうで、ほぼ即死だったそうだ。
ただ、その死後は寂しいもので。
親族とは縁を切っていたこともあって葬儀にはほぼ誰も参加せず、付き合いのあった女性たちも「かっこわる~」と笑うだけで悲しんではくれなかったそうだ。
◆
数年後、私は防具屋の常連客と結婚し、今は店と家庭を行き来して忙しく生活している。
夫はいつも気遣ってくれる。もっとゆっくりしていて、そう言ってくれるのだ。でも私は働いていたいので、今の生活を続けている。今の生活、それは、完全に自分の意思によるものなのである。
◆終わり◆




