どーでもいい、とか言われて、婚約破棄されてしまった私でしたが……若き国王の妻となりました。
「お前みたいなやつ、どーでもいいんだよ! ってことで、婚約は破棄な! 地味な女が努力もせず俺の横にいられると思うなよ!」
その日、婚約者フィメールは、そんな言葉を私に向けて投げた。
私は彼を愛していた。大切に思っていた。一緒に生きていけたらいいな、そう思っていたし、彼に対して悪い感情は抱いていなかった。
けれども彼は違ったようで。
彼は私を良くは思っていなかったようだ。
「俺の横にいたいならせめて自らご奉仕するとかしろよな! ま、もう遅いけどさ」
「婚約破棄……本気なのですね」
「はぁ? あったりまえだろ? 本気じゃねーことわざわざ言わねえよ!」
きっと彼の心が私へ向く日は来ないのだろう。
たとえどうあがいたとしても。
この状況は私には変えられない。
悲しいし痛かった――けれどもどうしようもなくて。
「そうですね、では、私は去りますね」
結局私は彼の前から消えるしかなかった。
愛など。
想いなど。
無駄だった。
◆
あれから数年、私は若き国王の妻となっている。
驚かれるだろうか?
いや、そうだろうと思う。
それが普通だと思う。
だって自分も当時は驚いた、こんなことになるなんて、と。
ある夏の日、とある催し物に参加した際、彼が私に興味を持ったのだ。それからしばらく、私は彼に追い掛け回された。始めはそんなつもりはなかったのであまり関わらないようにしていたのだが、次第に彼の熱に流され、気づけばいつしか特別な二人になっていっていた。
そして今がある。
彼の愛はとても熱く深かった――けれども急かすようなことはせず、私の心が決まるまで彼は待ってくれて。
そういうところに魅力を感じた。
ちなみにフィメールはというと、処刑されてこの世を去った。
というのも、私が国王と結婚するという話を聞きつけてから執拗に嫌がらせをしてくるようになり、しまいには殺そうとしてきたのだ。
あるパレードにて、彼は私をその手で殺そうとした。
そして警備に捕まり。
国王の決定で処刑となった。
どうでもいい私のことなんて放っておけば良かったのに。
そうすれば処刑なんてされなかったのに。
なぜわざわざ余計なことをしたのかが理解できない。
◆終わり◆




