おっちょこちょい令嬢は婚約破棄され穴にはまり川を流れそうになっても幸せを掴むのです!
レフィリア、彼女はとても美しい女性だ。
しかし驚くほどおっちょこちょいなところがある。
彼女の人生には、彼女が生きる道には、いつも周りが驚くような意外かつ不思議な落とし穴が存在している――ちなみに、そういう表現ではなく、言葉そのままの意味である。
「レフィリア、キミのような意味不明な失敗ばかりする人とは結婚なんて無理だよ。よって! 婚約は破棄とさせてもらう!」
「残念です……」
「ボクに相応しい女性はもっと完璧な女性でね、あいにく、それはキミじゃないんだ」
「はい、分かりました」
婚約者オブリから婚約の破棄を告げられたレフィリア。
しかしそこまで動揺していない。
彼女はいつもと変わらないうっすらと笑みを浮かべた顔のまま、部屋から出ていく。
だが、家を出てすぐのところで、急に落とし穴にはまった。
もちろん言葉そのままの意味だ。
高さ二メートルほどの大きな穴。
それにはまった。
つまり落ちてしまったのである。
しかしレフィリアはさほど動じない、ゆっくりと自分のペースで地上へと戻ってくる。
そうして再び歩き出すレフィリア。
だが、川沿いの道を歩いている時、何やら急いでいる様子の通行人にぶつかられてしまう。
「あっ……」
彼女はふらつき川に落ちた。
水に流されてゆく。
勢いのある水の中では女性一人など何もできやしない。
そうしてレフィリアは流されてゆく――が、途中で一人の男性に救助された。
「大丈夫ですか!?」
「あ、は、はい……このくらいどうということはありません」
「良かった」
「助けてくださってありがとうございました」
その男性はとある国の王子だった。
休暇で遊びに来ているところだったのだ。
レフィリアはその頑丈さに惚れられて。
彼に求婚されることとなる。
◆
あれから数年、レフィリアはあの時救助してくれた男性の妻となった。
川を流れても無事な女性。
彼女はいつしか『鋼の女神』と呼ばれるようになった。
レフィリアは、その頑丈さと美しさで多くの人を魅了し、生まれ育った国とは異なる国でではあるものの人々から愛される女性となったのだった。
国では、男性はもちろん、女性からの人気も高い。
美しくとも飾らないところ――それが世の女性たちにも受け入れられているのかもしれない。
◆
ちなみにオブリはというと、恋人だった女性に崖で執拗にプロポーズしたために突き飛ばされてしまい崖から転落、そのまま死亡した。
生前当たり前のように己を偉大であると語っていた彼だが、その最期は恐ろしく呆気ないものであった。
◆終わり◆




