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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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婚約破棄された翌日、彼はこの世から旅立つこととなってしまったようです。

「リベリオン王子が呼んでいたわよ」


 侍女に言われ、私は彼のもとへ急いだ。


 リベリオン王子。

 彼はこの国の王の一人息子でただ一人の王子だ。


 そして私の婚約者でもある。


「来たか」

「はい」

「実は、伝えたいことがあってな」

「何でしょうか?」


 リベリオンは暫し瞼を閉じてから再び目を開いて発する。


「お前との婚約、破棄とする」


 彼は落ち着いていた。

 瞳は私を真っ直ぐに捉えている。


「婚約、破棄……」

「そうだ」

「私は何かやらかしたのでしょうか?」

「違う。だが気が変わったのだ。もうお前とやっていく気はなくなった」


 部屋には私と彼の声しかない。



「そう……ですか、分かりました」

「いいな?」

「……はい」

「ではとっとと城から出ていってくれ。もう二度と会いたくない」


 悲しかった。

 二度と会いたくない、という言葉が。


 そこまで私が嫌なの?


 考えてしまう。

 深みにはまる。

 考えれば考えるほどに痛みと辛さは膨らむ。


「承知しました」


 その日私は城を出た。

 そうするしかなかったからだ。



 ◆



 翌朝、少し遅めに実家で目を覚ました私は、青い顔をした母から王子リベリオンの死を聞かされた。


「朝方彼の部屋に不審者が入ったんですって。それで殺されたそうよ」

「そんな……」

「詳しいことは分からないけれど」

「亡くなったの……?」

「そうみたい。もう国民向けに発表されているわ」


 リベリオンは逝ってしまった。

 でも私は生き残った。

 そういう意味では私は幸運な女だったのかもしれない。


 ならばこの幸運を捨ててはならない――。


 こうして新しい一日が始まる。



 ◆



 あれから数年、私は隣国の力ある領主と結婚し、富と幸せを掴んだ。


 今は穏やかに生活できている。

 毎日がとても楽しい。


 リベリオンは消えても、私の人生は華に満ちている。



◆終わり◆

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