王子の婚約者である私を陥れようとした女性は逆に処刑されることとなりました。
私にはリベーリング王子という婚約者がいた。
二人の関係は良好。
周囲からも「きっと素晴らしい夫婦になるだろう」と言われているくらいであった。
だがその関係を壊そうとする者が現れた。
リベーリング王子の昔からの知人である女性ルレリアだ。
彼女は、婚約者がいる身でありながら、リベーリング王子に対して好意を抱いていて。私という存在が発生してからは、特に彼に積極的に関わるようになった。奪われそうになって感情に気づいたのだろう、恐らく。
そんなルレリアは私をはめようと考えたようで、私の悪い話を勝手に作り上げてリベーリング王子に吹き込もうとした。
だが彼はそれを信じなかった。
彼は信じたふりをしながら水面下で調査を行い、ルレリアの言っていることが真っ赤な嘘であると突き止めた。
「ルレリア、君がしていた話はすべて嘘だったようだね」
そして、この日が来た。
「え……」
「妻となる人の悪口、それも嘘を吹き込もうとは、良い覚悟だね」
「な、何でしょうか!? 嘘!? わたくしは嘘など一切申し上げておりません!」
「調査は済んでいる――それでも嘘じゃないと言うのかい」
「言います! 嘘ではありません!」
必死に嘘でないと主張するルレリアを見て、リベーリング王子はふっと笑みを浮かべる。
「また嘘を重ねた。君はもう許されない。未来の王たる僕の妻に限りなく近い人を侮辱した罪は重い――よって、ルレリア、君は処刑とする!」
その日、ルレリアは拘束され、牢へ送られた。
処刑までは日がある。
その間に彼女は婚約者から婚約破棄を言いわたされたようであった。
そして数週間後、彼女は処刑された。
彼女の嘘はすべて暴かれた。
私を陥れようとしていたことは皆に知れわたった。
生きていても良いことはないだろう。
そういう意味では、処刑されてまだ良かったのかもしれない。
邪魔者は消えた。
私とベーリング王子は幸せに生きてゆく。
◆終わり◆




