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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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悪女と呼ばれ王子に婚約破棄されましたが、無実を証明できたため、実家へ帰ってのんびり穏やかに暮らします。

 私は婚約破棄された。

 婚約者で王子でもあるルルエンから。


 彼が言うには、私は幼馴染みエリリを毒で殺めようとした悪女らしい。


 ……意味が分からない。


 ただ、牢に入れられてからしばらく調査して、どうやら前にエリリが毒によって倒れたことがあったようだということが発覚――しかし、その話には少々不審な点もあった。


 というのも、エリリが主張している種類の毒はかなり効果の高いものであり、生き延びられるようなものではないのである。


 その毒を盛られて生き延びた?

 そんなことがあるものか?


 当時もそのような意見はあったようだが、その時はそういった邪魔な意見はエリリの実家の力で掻き消されたようだった。


 掻き消された、ということは、やはり――。


 私はさらに調査を重ねる。

 そうしてたどり着いた。

 彼女がこれまでに何度も毒を盛られたという自作自演をしていた事実に。


 私はそのことをルルエンではなく彼の父である国王に告げた。すると彼は理解を示してくれて。改めて調査してみる、と返してくれた。


 そうして私は一旦牢から出られることになった。

 それは国王が「今回に関してはそうする」と言ったからである。

 すべて彼の言葉のおかげだ。


 で、待つこと数ヶ月、国王及び国は私が毒殺しようとなどしていなかったという事実を認めた。


 国王からは謝罪があった。


 エリリは処刑され、ルルエンはそれによって情緒不安定になったために療養という名のもとに北の塔へ入れられたそうだ。


 ルルエンとの婚約者同士という関係は戻らなかった。

 だが償いとして少しお金を貰うことはできた。

 それは、これまでルルエンが色々迷惑をかけたとのことで国王が払ってくれたものであった。


 私は実家へ帰った。


 そしてのんびりと暮らすことを再開する。


 こういう暮らしも悪くはない。いや、むしろ、こちらの方が好きかもしれない。あくまで個人の意見だが。息が詰まりそうな王城より、心休まる実家の方が生きやすい。


 ここで穏やかに生きていくのも悪くはないかも――そんなことを思いながら、私は今日を生きる。


 当然未来など分からない。だからいつかは恋をするかもしれない。結婚する可能性もまったくないというわけではない。


 が、今はここでのんびりしていたい。


 本を読んだり。

 庭の花壇を眺めてたまに水やりしたり。

 玄関の小さな蜘蛛を観察したり。

 雨上がりには水溜まりにこの身を写してみたり。

 歌を口ずさんだり。

 料理に挑戦してみたり。



◆終わり◆

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