都合の悪いことはすべて私のせいにし私に当たり散らしていた母は、私が家を出たことで発散できなくなり壊れてしまったようです。
私の母は私に対していつも心ない。
彼女はことあるごとに責めてくる。
都合の悪いことはすべて私のせい、彼女の中ではそうなのだ。
少しやりたいことをする時間がなかったら私のせい、少し気に食わないことが起きたら間接的にでも私のせいとし、不運なことがあった際にはそれもまた私のせいとして悲劇のヒロインを演じる。
そんな家庭には疲れた。
何もかも私のせい。
この世のすべての残念な出来事は私が原因。
そう思わせるようなことを十数年にわたって言われ続ければ、さすがに嫌にもなってくるというものだ。
そこで私は二十歳になった日に家を出た。
家にいる限りあの母から離れられない。
ならば離れるしかない。
たとえ今在るものを失うとしても。
だから私は家から出た。
私が家を出たことを知った母は激怒していたようだが――なぜ怒るのか意味が分からない、理解不能だ、あれほど私を悪者にしていたのに。
彼女のことはよく分からない……。
その後私は劇場の掃除係として働き始めた。
そうしているうちに一人の青年と出会う。
彼は劇場の持ち主だった。
立場の異なる二人だったけれど、互いに、心を奪われ合ったのだ。
そして――長く交流をつけた後に、ゴールインした。
……いや、ゴールイン、は少々おかしいかもしれないが。
ここは終わりではない。
ここは始まり。
きっとここからが本当に戦いなのだろうけれど……でも、今はただ前を見つめて、明るい未来を見ていようと思う。
ちなみに、母は、私のせいにばかりしてストレス発散していたのができなくなったことであの後すぐに正気を失ってしまったそうだ。
時に、物を投げ散らかし。
時に、意味もなく叫び。
時に、夫に理不尽に当たり散らし。
――そんなことが続いたため、彼女は夫からは離婚を言いわたされ、親からも「面倒をみるのは無理」と言われたそうで、今は少々悪質な施設に入れられたままだそうだ。
実質放置に近い状態のようだが……。
とはいえ、もはや母なんてどうでもいい。
事実、母娘ではあったわけだけれど、そんなことは今は無関係。
関係を壊したのは彼女なのだ。
私たちがこうなったのも母が私にやたらと当たり散らし続けたから。
ま、これからは、私なりに幸せに生きていこうと思う。
◆終わり◆




