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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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可愛い妹が婚約破棄されました。~彼女を泣かせるような人は絶対に許しません~

 私には妹がいる。

 名はフリゼ。

 とても可愛くてずっと抱き締めていたいような女の子だ。


 しかし彼女は婚約者アウガに虐められている。


 アウガは一応歴史ある家の子息なのだが、それに相応しくないやんちゃ系の男性で、裏で色々やらかしているという話を聞いている。


 だから心配していた。

 フリゼに何かあったら、と。


 そして、だからこそ、もしもの時にアウガを地獄へ叩き落とせる準備をしていた。


 そう、私は、彼の悪い行いについてこっそり調査していたのである。


 もちろん噂だけでは駄目だ。

 だから確かな情報と証拠も集めているのだ。


 そんなある日。


「お姉さま……」

「どうしたの!?」


 フリゼが泣きながら帰ってきた。


「他の男性と仲良くしているとか何とか……色々言われて、婚約破棄されて……ううっ、どうして……」

「男性? 待って、本当に仲良くしている人がいたの?」

「いない……」

「じゃあ、彼が勝手に言っているだけなのね?」

「そうなの……だって私、アウガ様のことを愛しているの……」


 思わずフリゼを抱き締める。


「辛いわよね、そんなこと言われたら」


 フリゼは目を閉じてこくこくと頷く。


「大丈夫、私が反撃しておくから」

「……殺さないで」

「え」

「アウガ様に死んでほしいとは思っていないから……」

「ええ、大丈夫、殺しはしないわ。彼のこれまでの悪行を世に出すだけよ」


 フリゼは嘘の理由で婚約破棄されてもなおアウガに情を抱いていた。

 簡単にくたばれとは思えないようだ。

 でも、愛している、とはそういうことなのかもしれない。


 フリゼとアウガの婚約を元通りにすることはできなかった。もしかしたらフリゼの願いはそれだったかもしれない、が、それはさすがに難しかったのだ。それに、姉としては、フリゼを泣かせた男にフリゼを託すのは嫌だった。だから、婚約破棄は婚約破棄のままとなったことは、私にとっては幸運なことだった。


 その後私はアウガのこれまでの悪行を世に出した。

 それによって彼は社会的に死亡。

 その時既に新しく作っていた婚約者からは「悪人と結婚とか嫌だし恥ずかしい」という理由で婚約破棄されたらしい。


 その後アウガは自殺を繰り返すも、十回繰り返しても上手くいかなかったそうで、ただ身体がぼろぼろになるだけだったそうだ。


 ちなみにフリゼはというと、婚約破棄後はしばらく落ち込んでいたが、後に資産家の男性に見初められて結婚した。


 彼女は今、笑顔でいる。


 それは私にとっても何より嬉しいことだ。


 良い人だからこそ笑っていてほしい。

 可愛い妹には泣かないでいてほしいのだ。


 そして私ももうすぐ結婚する。



◆終わり◆

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