意地悪ばかりしてきたうえ婚約者に嘘を吹き込んで婚約破棄にこぎつけた義母と義姉はやがて滅ぶこととなりました。
私には意地悪な義理の母と姉がいる。
父親の再婚相手とその娘、二人は元々屋敷にいた私を嫌い、ことあるごとに虐めてきていた。
そして。
「君の悪い行いについて聞いたよ。君、美人なのに、酷い女だったんだね。義理とはいえお母さんとお姉さんに無礼なことを続けているとか……信じられないよ。でも、そんな酷い女を我が家に迎え入れることはできない。よって、婚約は破棄とするよ」
婚約者レッディは、義理の母と姉から何やら色々吹き込まれたようで、私との婚約を急に破棄してきた。
「母を虐められても困るしね。……じゃ、ばいばい」
その日、屋敷へ帰ると、義理の母と姉は私を見てくすくすと笑ってきた。
婚約破棄されてざまぁ、とでも思っているのだろう。
すべてを知っているのならさぞかし良い気分でいることだろう。
しかし……あの二人がいてはこれからもいちいちややこしいことになりそうだ。妨害されながらまっとうな人生を歩める気は……正直、ない。
ということで、私は屋敷から出ることにした。
あまり知らない外の世界、そこへ一人で行くことは恐ろしいことでもある。けれども、虐められるばかりの現状を変えたい思いが強いから、怖いとか何とか言ってうじうじしてはいられない。たとえ少しの怖さはあっても、あの地獄に近いような場所から逃れられるなら、勇気を持って進もうと思うのだ。
そうして単身都へ出た私は、交流場で掃除や給仕をしながら働くことになった。
そして巡り会う。
この国の王子、その人と。
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結論から言うと、王子に見初められた私は彼と結ばれることとなった。
父の身分がそこまで悪いものでなかったこともあり、王子とであっても結ばれることは可能だった。その点は運が良かったと思う。不幸続きの私ではあったけれど、そういう意味では恵まれていた。
こうして私は王子の妻となった。
その後、レッディの行為を知った王子は怒り、城に出入りしていたレッディの父親を出禁にした。また、王家とレッディの家との取引は今後一切しない、という以降を決定。既に決まっていた取引も、そのほとんどがなかったこととなった。
噂によれば、取引がなくなったショックでレッディの父親は自ら命を絶とうとして失敗、その結果家族で介護しなくてはならないこととなったらしい。そして、介護開始から数ヶ月も経たないうちにレッディは「もうやってられない!」と言い出し、彼は母親がいなくなった隙に人形のような父親を殺めた。レッディはそれを自然な死とする気でいたが隠しきれず、結局彼が殺めたことが発覚。レッディは父親殺しの犯罪者となり、事情があったとはいえ当然許されはせず、牢に入れられたそうだ。
そして、私を虐めていた義母と義姉は、私が王子と結婚したことを知るや否や私の悪いことを言いふらす活動を大々的に始めた。当然嘘の話である。
夫である王子はそれを許さず。
王子は義母と義姉を拘束させ、王子の妻を根拠のない話で侮辱した罪で罪人とした。
その結果、当時ちょうど決まっていた義姉の婚約は破棄となり、義母も知人に大嘘つきであるとばれてしまい恥をかくこととなったようだ。
王子が配慮してくれたこともあって私が二人に出会うことはなかったが、二人は更正施設という名の牢屋のようなところへ収容され、数年にわたって拷問に近いような生活を強要されたらしい。
でも……正直自業自得だと思う。
彼女たちは抵抗できない状態の私を虐めてきたのだから。
少しは同じ目に遭えば良いのだ。
◆終わり◆




