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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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婚約破棄された令嬢は精霊と共に世界を統一する!

 それは、今から数ヶ月前の記憶。


 私の心を傷つけた。

 私の胸を痛くした。


 当時婚約者だった男性グルテリスからの言葉――。


「もうお前とは! 絶対にィッ! 嫌なんだよッ!」


 彼は容赦なく私の胸を切り裂いた。

 そして傷を見ることさえせず。

 私という存在を呆れるほど勝手に一方的に切り捨てたのだ。


 どれだけ時が経とうとも、時折、ふとした瞬間に思い出すことがある。


 彼の捨てられた悲しみ。

 切り落とされた痛み。

 心なき言葉をかけられた切なさ。


 どれも、いつまでも、心の片隅に在り続けるというものなのだ。


 負った傷は消えない。身体の傷なら癒えることもあろう。しかし心の傷はそうではないのだ。種によれば時と共に癒えてゆくものもあるだろうが、逆に、いつまでも永遠に残り続けるものもあり。目には見えないからきっと誰も気づかない、でも、その傷はいつまでも傷を抱くものを苦しめるというものなのだ。



 ◆



 グルテリスに婚約破棄された直後、私は一人の精霊と出会った。

 その人は己を『冬瓜の精霊』と話す。

 彼と意気投合した私は、共に、この広い世界を治めることを誓い合った。



 ◆



 そして現在。

 私は全世界統合政府の長となり、世界中を手の内に入れている。


 冬瓜の精霊は今も私の隣に。


 彼は魔法でサポートしてくれるので、これまでもいろんな面でお世話になってきた。だがきっとこれからも世話になってしまうことだろう。なんせ、彼のその魔法は強い。世を治めるためには、彼の存在は必要となってくるだろう。


 平和な世界を作る。


 そのためには、力が要る。


 矛盾しているようだけれど。

 でも。

 それは当たり前のことなのだ。


 ちなみにグルテリスは既に死んでいる。


 全世界統合政府が発足する数日前に、いくつかの場所で爆破テロを起こそうとしたために、拘束されて処刑されたのだ。


 彼はもう消えた。

 他者を傷つけようとして己が滅ぶこととなった。



◆終わり◆

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