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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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趣味を良く思わない婚約者から婚約破棄されました。しかし、その趣味が、後に私を裕福にしたのです。

 私は昔から栗拾いが好きだった。


 そして今も好きだ。

 時折勝手に自分一人で行くほどに。


 小さい頃親とよく行っていた良い思い出だったから、それを大切に抱えて、今もたまには栗拾いをするのだ。


 でもそれを良く思わない人もいて……。


「お前また栗拾い行ったらしいな!」

「はい」


 赤毛の婚約者アボガテ。彼は栗のような顔をしている。私が彼に興味を持ったのも、彼が栗みたいな顔をしていたから。栗のような顔の人と一緒に栗拾いしたかったのだが。それなのに、彼は栗拾いを嫌っている。結局、彼と一緒に栗拾いは無理だった。


「前にもう行くなと言っただろう!」

「言われていません」

「貴方が言ったのは『栗拾いするやつとか幼稚だよな』だけです」

「はぁっ!? 行くなと言ったようなものだろうが!!」

「あの……当たり前のことですが、幼稚だよなと行くなは意味がまったく違いますよ」

「黙れ! 細かいこと言いやがって! くそが!」


 彼は怒ってしまった。


「もういい! これ以上付き合えん! お前との婚約は破棄だ!」


 こうして二人の関係は終わる。

 私たちはもう共には歩けない。



 ◆



 その後私は新種の栗を発見したことで有名人になった。

 仕事がたくさん舞い込んで。

 その報酬によって、私は裕福になれた。


 アボガテとの関係は終わってしまったけれど、それはそれで良かったと思っている。


 だって、あのまま彼といたら、きっとこんな今はなかったはずだ。彼と別れ、躊躇いなく栗拾いをできるようになったからこその今。そういう意味では、彼が捨ててくれたからこそこんな風な未来を掴めたのだ。


 ちなみに、婚約者もいる。


 彼は植物学者。

 新種の栗の件で知り合い、結婚を目指す関係となった。


 一方、アボガテはというと。


 彼はあの後沼を泳いでいたところなぜかそこにいた猛毒のある虫に刺されたそうで、それによって亡くなってしまったそうだ。


 虫に殺されるとは……。


 いや、でも、虫も時に凄まじい力を出すものだ。彼らには彼らの強さがある。小さい身体しかなくとも、それを補う能力がある。だからこそ、昔から今にまで命を繋いできているのだ。


 小さいからと舐めるのは良くなさそうだ。



◆終わり◆

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