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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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転生した瞬間、告げられる婚約破棄。~よく分かりませんが、幸せを目指します!~

「お前との婚約は本日をもって破棄とする」


 異世界へ転生した瞬間、告げられる婚約破棄。

 まさかの、だ。

 そんな物語を読んだことはあったけれど、そんなことが本当にあるなんて。


「よいな? では去れ」

「は、はい……」


 言語が理解できるものだったのは大きい。

 言葉が分からないと本当にどうしようもないから。


「お前のような悪女は俺の前から消え去れ、いや、世界から消え去っても良いくらいだ。とにかく、存在価値がない。正直、ごみよりも不要だ。お前のような人間がいると世界そのものが穢れる」


 目の前の男性からは散々失礼なことを言われた。

 転生先であるこの女性はそんなに悪い人なのだろうか。


 ……殺人犯とか?


 いや、でも、それなら牢へ送られているだろう。


 とすれば犯罪者ではないのだろうか?

 性格が悪いとか?



 ◆



 その後、私は、記憶喪失ということになった。

 これまでの記憶を完全に欠いているから。

 個人的にはそういうことになって良かったと思える。


 そして母親から聞くこととなる。

 この身体の女性について。


 この女性、婚約者の幼馴染みと敵対していて、ことあるごとにぶつかり合っていたようだ。ただし、先に手を出してきているのは幼馴染みのほうだったみたいだが。この女性は、幼馴染みの悪意に負けないよう、強く振る舞っていたらしい。だが、それによって周りに誤解されることもあったことはあったらしく。婚約破棄を告げていたあの男性、名はオレというそうだが、彼もまた幼馴染みに上手く乗せられ彼女の味方をすることが多かったそうだ。


 私はもう恋には生きないことを決めた。


 だってそうだろう?

 悪女と思われている身ではすべてにおいて不利だ。


 それから私は現代にいた頃の知識を利用し、文明を大きく前へと進めた。そうしているうちに段々悪女と言われるのはましになって。評判も回復。ついには、素晴らしい発明をしたとして、国王から表彰されるまでになった。


 その表彰の直後のパーティーにて、領地持ちの家の子息と知り合った私は、彼と結ばれることとなる。



 ◆



 あれから五年、私は今も領地持ちの家の子息である夫と共に、穏やかに楽しく生活できている。


 最近は彼の母親から料理を習っている。

 彼女は定期的に友人知人に手料理を振る舞うほど料理が好きで得意なのだ。


 彼女は器用でない私にも怒らず丁寧かつ優しく教えてくれるのでとても助かっている。


 彼女はまるで実母であるかのよう。

 いつも温かく接してくれる。

 どんな時も、変わらず、包み込むような温かさをくれる。


 ちなみに、かつて私を切り捨てたオレは、あの後船で海へ出て釣りをしていたところ大きな波に襲われてしまい、そのまま帰らぬ人となってしまったらしい。

 また、その時のオレの婚約者は、オレの死のショックで衝動的に死を選んでしまったそうだ。

 それから一週間後には、オレの母親が謎の死を遂げ。

 その葬儀の最中、オレの父親は急に奇声を発し、倒れたそうだ。



◆終わり◆

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