二度目のやらかし、もう許すことはできません! 貴方との婚約は破棄します!
私には婚約者がいる。
名はレブナン、彼は気さくな良い人ではあるものの、少々股が緩い。
婚約して間もない頃、彼は一度、私ではない別の女性と親しいようなことをしていた。で、その時も揉めたのだが。彼は懸命に謝ってくれたので、一度目ということも考慮して許すことにした。そうして私たちの関係は続いてゆくこととなって今に至っている。
しかし。
「レブナンさん、また他の女と遊んでいるみたいよ。例の場所に入っていくのを目撃したわ」
友人エリナからそう聞いて。
私は彼にそれが事実であるかどうか確認。
すると彼は泣きながら認めた。
「ぶ、ぶへぇぇぇぇん……ごめ、ご、ご、ごめ、めめ、ごめ、えぇぇぇ……ごめ、えぇん……」
レブナンは鼻水を垂らしながら泣く。
「前は許したけれど、今回はそういうわけにはいかないわよ」
「へえええええぇぇぇぇぇん……」
「もう二度とそういうことはしないって、約束したわよね?」
「し、したあ……」
「そういうことよ。貴方は約束を違えた、もう許さないから」
「で、もぉ、あれは……ぶへぇ……ぇぇ……そんなことじゃなく、てぇ……えぇぇぇぇん……」
何度もそういうことされて許せるほど私は優しくない。
「レブナン、貴方との婚約は破棄するわ。じゃあね――さようなら」
悪いが許すことはできない。
◆
その後私はしばらく実家で暮らしていた。
そんな時、エリナが真剣な面持ちでやって来て、何かと思ったら――プロポーズだった。
彼女は昔から私を恋愛的な意味で好きだったらしい。
私は彼女の気持ちを受け入れることにした。
レブナンの勝手過ぎる行いを教えてくれた彼女には感謝していたから。
こうして私はエリナと暮らし始める。
◆
あれから二年、私とエリナは今も仲良しだ。
お互いの親が事情を理解してくれる人であったこともあり、今日に至るまで、特別困ったことはなかった。
むしろ皆サポートしてくれていたくらいで。
私の親も、彼女の親も、特別な関係になった私とエリナを温かく見つめてくれていた。
ちなみに、子どもは、孤児院から赤子を貰ってきた。
今はエリナと二人でその子を育てつつ毎日を楽しく生きている。
そうそう、そういえば、レブナンは婚約破棄となったあの後「やり直したい」と言って私の周囲をちょろちょろしていたのだが、私がストーカーとして通報したために治安維持組織によって拘束された。
きっと今頃――冷たい飯だけしか与えられず強制労働させられているのだろう。
◆終わり◆




