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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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何だかんだで幸せになれましたが、元婚約者と彼を奪った妹は結婚式にて不幸な結末を迎えたようです。

「ねーぇ、お姉さまぁ……エルド様との婚約、破棄しておきましたわよ!」

「え」

「そういうことですから! ではこれにて~」

「ちょ、待っ」

「さようなら! お姉さま!」


 その日、私は、妹からそう言われてしまった。


 話が事実か分からなかったので、エルドに連絡し、話を聞いてみると。


「ああ、そうだよ。事実だよ」

「そんな……どうして……」

「実はさ、妹さんと婚約することにしたんだ」

「え!?」


 さらに衝撃を受ける。


 それはつまり、妹に奪われたということ!?

 彼女は私の婚約者に手を出していたの!?


 驚きが次々迫ってくる。


「やっぱ俺、好きな人と結ばれたいよ。妹さんは積極的だしいつも俺の希望に添う行動をしてくれる、だから今は彼女が好きなんだ。もう、君なんてどうでもいいくらいに」


 それにしても、二人がそんな風になっていたなんて、まったく気づいていなかった……。


「そう……」

「ごめんな」

「分かったわ。じゃあこれで」

「さよなら」

「ええ……さようなら、エルド」


 これで終わった。

 彼との関係、すべてが。


 もう何もかもが終わってしまった……。


 これからどうしよう。


 どこへ行こう。

 何をしようか。



 ◆



 その後、私は実家を離れ、かつての友人の家へ住まわせてもらうこととなった。


 そこで掃除係として働かせてもらい。

 友人が心の広い人だったこともあり、とても快適に過ごさせてもらった。


 彼女はいつも私に対して「綺麗にしてくれてありがとう!」と言ってくれる。私はお金を貰っている立場なのに、彼女は私への感謝を忘れない。本当なら、彼女こそが感謝される側だろうに。


 でも、そのお礼と笑顔がとても嬉しくて、そのたびにもっと頑張ろうと思えた。


 ありがとう――ただそれだけの言葉に日々救われている私がいたのだ。


 そうして働き数年が経った頃、友人の家に出入りしている男性と知り合う。で、友人の母親が積極的に話を進めてくれたこともあって、その男性と結婚できることとなった。


 こうして私はオーべガルと結婚。

 それを機に退職した。



 ◆



 オーべガルとの結婚から三年、私と彼は今も仲良しのままでいられている。


 最近のブームはお菓子づくり。

 一人で家にいる時にすることがなかったことから始めたのだが、それからはまってしまい、今では毎日のようにお菓子を作っている。


「今日のこれ! 美味しいね!」

「本当? ありがとう」

「最高だよ! とっても美味しい!」

「やったぁ、安心したわ」

「また作ってくれる? このチョコチップケーキ」

「ええ、もちろん」


 これからもいろんなものを作りたい。

 まだ作ったことのないものにも挑戦したい。


 やりたいことを好きなようにできる――それは何よりもの贅沢だと思う。


 もっとも、個人的な意見だが。


 で、その頃になって知ったのだが、元婚約者のエルドと私の妹は今はもう生きていないらしい。というのも、結婚式の最中に会場が崩れるという事件があったそうなのだ。会場の崩壊に巻き込まれた二人は残念なことに瓦礫の下敷きになってしまい、その場で亡くなったそうだ。



◆終わり◆

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