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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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桃色ポニーテールは折れたりしない! ~歌って踊って、幸せになってみせます~

 生まれつき桃色の髪だった私は小さい頃からそのことで色々言われてきた。


 悪口を言われたり。

 病気でないかと言われたり。


 それでも、母がしてくれるポニーテールが大好きで、それを心の支えにして細々と生きていた。


 でもある時出会ったの――歌と踊りというものに。


 そこでは誰もが輝いて。どんな容姿でも、どんな身の色でも、どんな体系でも、関係なくて。それぞれがそれぞれの個性で魅せる世界。私は一瞬で惚れてしまって。それから歌と踊りの練習を始めた。


 そんなある日、私は、昔から決まっていた婚約者オーデンに「下品な女だな、婚約破棄だ」言われてしまった。


 さらに。


「そもそも髪色がおかしいのにまだそんな下品なことをするのか? まったく、理解できん。馬鹿か何かか。あんなのは貧民がやることだ、そんなことをやりたいのなら俺の婚約者という座からは消えてくれ。な? でなくては俺まで下品な輩と思われる」


 そんなことまで言われて。


 彼は私の趣味に一切理解を見せてくれなかった。

 だから私は彼を手放すことにした。


 たとえそれが悲しいことでも――それでも構わない、私はやりたいことをやって生きてゆく。


 婚約破棄後、自由になれたので、歌と踊りにより一層打ち込むようになった。で、数ヶ月後に踊りの先生に言われて参加した舞踊大会にて優勝。それからは急激に有名人になっていって。驚くくらいあっという間に私は『今年の新しい有名人』という賞を受賞。賞金で裕福になった。また、仕事もたくさん舞い込んできて、その報酬もあってさらに富を得た。


 桃色ポニーテールは折れたりしない! のだ。


 たとえ嫌なことを言われても。

 すべてを否定されても。


 それでも私は私の望む道を行く!


 歌って、踊って、華となる。



 ◆



 あれから五年半、私は今も歌って踊れる女性として活動している。


 最近はボランティア活動も始めた。


 こっそりだけれど。

 こちらはまだあまり知られていないけれど。


 でも、それに関しても、ゆっくりやっていければと思っている。


 そういえば、有名になって一年も経たない頃にオーデンから「もう一度婚約しないか?」と言われたのだが、それはお断りした。金目当てなのがまるばれだったからだ。彼は、私を見ているようなことを言っていたけれど、明らかに金目当てというような顔をしていた。だからお断りしたのだ。一度切り捨てておいて金のためにまたすり寄ってくる人なんてどう考えても怪しいだろう。そんな人とは絶対に関わりたくなかったから。


 で、彼が最終的にどうなったかというと。


 ある時、私が出ていた舞台の最中に会場に刃物を持って押し入ろうとしたことで警備隊に拘束され、その途中で息ができなくなって死亡した。


 かつて婚約者同士だった私とオーデン。

 でも二人の現在はまったく異なるものだった。


 不思議なことだ。



◆終わり◆

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