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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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国王で婚約者の彼から婚約破棄を告げられました。~その後誘いがあったので魔王の妻になりましたが、穏やかに暮らせていて幸せです~

「お主との婚約は破棄とする!」


 青い空が悲しくなるほどに美しかったその日、私は、一国の王である男性リリガオンから婚約の破棄を告げられた。


「え……そ、それは一体、どういう……話、で……?」


 いきなり過ぎて脳が追いつかない。


「婚約は破棄、と言っておるだろう。聞こえなかったのか。どうやらかなり耳が遠いようだな。やはりお主は我に相応しくない」


 いや、耳が遠いわけではないのだ。


 聞こえてはいる。

 言葉そのものは。

 ただなぜそんなことを言われているのかが理解できないのだ。


「え、えと、あの……耳が遠いとかではないですが……」

「婚約破棄と言っておるのだ! ……分かったか? 分かったなら去れ。今すぐにな。それをしないというのなら容赦はしない、我はお主を死刑にすることも躊躇いはしないのだ」


 死刑、て。


 さすがに過激過ぎる……。


「しょ、承知しました。つまり、去れば良いのですね?」

「ああそういうことよ」

「分かりました。ではこれにて。さようなら」

「ああ」


 死刑にされるのは嫌だ。

 だから私は彼の言葉に従い去ることにした。


 しかし、これからどうしよう……。


 婚約破棄された私にできることなんてあるのか?

 もしあるとしてもどうやって見つければ良いのだろう?


 何を目指して生きてゆけば良いのか分からない。



 ◆



 婚約破棄された直後、私の前に一人の男性が現れた。

 その人は魔族の血を引く者らしく、彼は私に「魔族の王の妻となってほしい」と頼んできた。


 私はその時の勢いでそれを受け入れた。


 で、まさかの展開だが、魔王の妻となった。


 こんなことになるなんて、と思いながらも、私は魔族の国へ移り住む。

 そして、魔王の妻として生きてゆくこととなった。


 魔王城に住み、時折魔王と交流し、他は自由時間――魔王の妻の暮らしというのはそんな暮らしである。


 いや、なかなか悪くない。


 自由時間が多いのは嬉しい。

 好きなように暮らせるから。


 それに、世話付きなのもいろんな意味でありがたい。


 魔王も意外と優しいし。



 ◆



 あれから二年三ヶ月、リリガオンが死んだという話を聞いた。


 私が去った後、あの国は近隣諸国と揉め、その結果戦うことになってしまったそうだ。複数の国と戦うこととなってしまい、やがて国は敗北。敗戦国の長となった国王リリガオンは処刑され、その資産も敵国の人間たちにすべて吸い取られてしまったそうだ。


 あの国はもう存在しない。


 ちなみに私はというと、今も、魔族の国にて優雅に穏やかに暮らせている。


 魔王の傍にいる。

 それだけで手に入る平穏。


 私はこれを守り続けたい。



◆終わり◆


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