好き、って言ったら、婚約破棄された!? ~その後発覚したのは彼の私は知らなかった顔でした~
私と婚約者である彼オリガはとても仲が良い。
彼はとても優しくいつも私の身を案じてくれる。小さな変化にも気づいてくれるし、私が少しでも疲れたような顔をしていたらすぐに声をかけて気遣ってくれる。
だからオリガのことが好きだった。
でも上手く言えずにいて。
言わないとと思いながらも言えないままだった。
でも、この日、ついに――。
「私ね、ずっと上手く言えなかったけど……オリガのことが好きよ」
――想いを口にすることができた。
けれども反応は思っていたものと違って。
私が気持ちを言った瞬間、オリガは大笑いし始めた。
「え? え? え?」
「あーっ、おっかしぃーっ! 本気になっちゃってさぁ! はー、ひゃー、受けたぁーっ、好きよ、とか! 今時そんな言い方って! ぎゃはははは! おもしれーぇっ!」
意味が分からない。
「オッケ。じゃ、これで婚約は破棄な!」
「え」
「何だ? まだ何かあるのか?」
「ま、待って! どういう意味? 婚約破棄? 冗談、よね……?」
冗談だと思った。
冗談でないとは思えなかった。
だって彼はいつも優しかった――。
けれども違った。私は遊ばれているだけだったのだ。というのも、彼は私に好きと言わせるまで婚約者でいるゲームをしていたそう。つまり、彼が私にしてくれたことは、すべてそのゲームのため。優しさも、思いやりも、すべて私のためのものではなかったのだ。
――許せない、許せるわけがない。
「どうして……! そんなこと……!」
足もとに落ちていた太めの枝を拾い、それを彼の片目に突き刺す。
「ぎゃ、ああああああああ!!」
動けなくなったところに、近くの大きめの石で殴りかかる。
「ヴぁッ!! ……ぅ……」
オリガは終わった。
彼はすぐに動かなくなった。
やってしまった、と焦る。
私は真実を話すことにした。人殺しと呼ばれてでもいい、と、心を決めて。この世には私の評判よりも大事なことがある。真実を隠すべきではない、そう思ったのだ。
だが、後に、オリガが猟奇殺人犯であったことが発覚して。
私の罪、殺人は、特例として見逃されることとなった。
私は今結婚もでき愛する人と幸せに暮らせている。
◆終わり◆




