表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

619/1194

婚約破棄されました、が、今は幸せです。~殺されたくないのなら殺そうとしないでください~

「君みたいなぱっとしない女性は僕には相応しくない。僕の妻となりたいならもっと麗しく忠実でなければね。ということで、君との婚約は破棄するよ」


 婚約者ルリエはへらへらふざけたような笑みを撒きながらそう告げてきた。


「そういうことだから、君は消えてよね」

「あの、かなり急ですが、理由があるのですか?」

「何なのかな、それ。いいから去ってよ。鬱陶しいよ」

「気になるのです」

「うるさい!! いいから去れよ!!」


 こうして、私とルリエの関係は終わった。


「ばいばい。ばっとしない女。さよなら」


 一緒にいたかった。

 でも無理だった。

 共にあれる時間は既に過ぎ去ってしまったのだ。


 その後実家へ戻った私は昔からよくしていたアクセサリー作りに打ち込むようになった。


 しばらく結婚うんぬんの話はしたくない。

 そんな気持ちだったから。



 ◆



 ルリエに婚約破棄されてからちょうど一年となる日、私は、都で開催される手作りアクセサリー販売イベントに参加した。

 すると私が作ったアクセサリーが人気になり。

 持ってきていた商品は半日も経たず売れきった。


 ここまで人気になるとは、と、驚いていた。


 だがそれで終わりではなかった。


 話を聞き付けた王子がやって来て、素晴らしい技術だと褒めてくれたのだ。


「今日は商品がもうあまりないとのことですね」

「はい……申し訳ありません」

「次の出展の際には必ず来ます。その時には見せてくださいね」

「は、はい」


 これが王子との出会いとなり。

 その後彼と何度も関わりを持つようになっていった。


 で、出会ってから数ヶ月後、私は彼と生きることを決意する。


「結婚の話、受けていただけるようで安心しました」

「ありがとうございます」

「これから、改めて、よろしくお願いしますね」

「は、はい……! もちろん……!」


 ただのアクセサリー作り好き女でしかなかった私は、こうして、王子の妻となった。



 ◆



 あれから二年半、私は今も王子と共に幸せに暮らせている。

 そしてアクセサリー作りも。

 良い環境を与えてもらえているため順調だ。


 やりたいことができるっていいなぁ……、今改めてそう思っているところだ。


 ちなみに、元婚約者のルリエは、私と王子の結婚が決まった頃に反対運動という名を使って私を殺害しようとしたために処刑された。


 彼の妹二人は兄の行いのせいで婚約破棄され、彼の両親は息子を抑えられなかったとして終身奴隷刑に処されたそうだ。


 ルリエは最期泣いていたらしい。


 死にたくない、と、何度も何度も叫んでいたそうだ。


 でも自業自得。

 私のことを殺そうとしたのだからそうなるのも仕方ない。


 他者を殺すなら、殺される覚悟もなくては。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ