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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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流れ星は連れてくる。~婚約破棄も乗り越えて~

 流れ星。


 暗く広い、あの海のような天を駆けゆく、一つの生命。


 それを目にするたび、思い出す。


 かつて愛した彼のことを。


 そして、彼に捨てられた、あの日のことを。



 ◆



「どうしてそんな……他の女性と……」


 あの日は平凡な日だった。

 でも彼と知らない女性の姿を目にして、平凡でない日になってしまった。


 むしろ、私にとって最悪な日となってしまったのだ。


「君は勘違いしているよ。婚約イコール両想いじゃない。健全な男子なら誰でも、婚約者がいたって遊ぶものだよ。心が狭いね」

「でも……」

「しつこいな。じゃ、もういいよ。婚約は破棄する! これでいいよね、満足だよね? じゃあばいばい」

「そんな! 待っ――」

「ほら、じいさん、こいつ追い出しといて」


 その日の晩、私が見上げた空には、一筋の流れ星があった。


 私を連れていって。

 そんな風に思ったくらいだった。


 でもその願いは叶わず。


 辛くて、泣いても泣いても、それでも次の朝は来た。



 ◆



 あの日々は辛かった。

 今思い出しても。

 当時の自分のことを可哀想だと思うくらい。


 けれども今は私には家庭がある。


 だからもう大丈夫。


 夫がいて。

 子がいて。


 だから前を向ける。


 かつてはすべて終わりにしたかったけれど、今はもうそうは思わない。


 また、星が流れる。


 これからも流れるだろう。

 何度も何度も。

 けれどもそれはもう私を苦しめはしない。


 流れ星は運んでくるのだ――私のもとへ、幸福を。



◆終わり◆

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