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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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呼び出されたと思ったら婚約破棄を告げられました。しかも軽い感じでです。……何なのでしょうか、これは。

 ある雨降りの日、婚約者であるオリガに「ちょっと会いたくって」と言われたので、雨だから嫌だなと思いつつも彼のところへ行った。


 すると彼はいきなり白い粉をかけてきた。


「いえーい! びっくりした?」


 何事かと思っていると。


「実はさ、婚約破棄することにしたんだ」


 彼は笑顔でそんなことを言う。


「君との婚約、破棄だから! ……最後にサプライズしようと思って。それで、こういう企画を考えたんだ。あ、大丈夫だよ、その粉変なものじゃないから」


 婚約破棄?

 サプライズ?

 粉?


 ……なんだそれは。


「じゃあね! さよなら!」


 彼は無邪気に笑って手を振ってくる。

 こちらはまだきちんと受け入れてもないのに。


「待って、話を――」

「話? もう終わったよ。これ以上話すことなんてないから」

「意味が分からないわ、こんな」

「何? まだ何かあるの?」

「おかしいわよ! こんな急な!」

「はい? 人のことをおかしいとか言うとかどうかしてるよ。じゃあね!」


 こうして私とオリガの縁は切れた。



 ◆



 翌日、私は、オリガが死んだことを知った。


 昨夜彼はどこかへ出ていったきり戻らず、朝になって親が探したところ、亡骸となって山道で見つかったそうだ。


 その胸もとには虫が二匹置かれていたらしい。


 なぜ亡くなってしまったのかは謎のままだ。


 誰かに殺された?

 自ら死を選んだ?


 その辺は謎のままだった。



 ◆



 あれから五年、私は結婚し子も二人も得られた。

 あの頃はまだただの娘さんだった私も、今では二児の母となり、少しは強くなったように思う。


 今は四人家族で楽しく生きている。


 今年もまた春が来る。

 美しい季節。

 具体的な理由なんてないけれど、私は春が好きだ。



◆終わり◆

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