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あら、婚約破棄されてしまったわ。 ~隠していましたが実はざまぁスキル持ちなんです~

 その日は突然やって来た。


「貴様との婚約なんぞ破棄とするッ!!」


 資産ある家の一人息子でわがまま放題な婚約者ポムリスは勇ましく宣言した。


「婚約破棄……これまた唐突ですね」


 彼はいつもこんな感じ。

 思ったことはすぐに言い出す。


「そもそもだな、貴様のことは最初からあまり良く思っていなかったんだ。俺には相応しくない中の下の容姿だったしな。だが容姿だけで決めてはいけないと思って受け入れようと努力したんだ」

「そうですか」

「だが! 忠実でなく、ことあるごとに俺に対して意見をする、奉仕はしない! これじゃ話にならない。女としての自覚があるのか? という感じだ。はぁ、どこまでも呆れる」


 数秒の間の後。


「よって! 婚約は破棄とする!!」


 刹那、建物のあらゆるところで爆発が起きた。


 凄まじい音が何度も連続で響き、窓が割れる鋭い音が空気を掻き乱す。

 空気は震動し、埃臭さが漂い出す。


「お!? おおお!? な、なななな、なんだぁーッ!?」


 いきなりのことに動揺するポムリス。


 ちなみにこれは私の能力だ。

 紹介が遅くなったが、私には『ざまぁスキル』なるものがあるのである。


 皆には明かしていないが……。


「ば、ばっ、ばくはくくく、爆発ぅーッ!? お、お、あわわわわわ、ママぁーッ、パパちんーッ!!」


 私が不快な思いをした時、このスキルは発動する。


 ちなみに、発動は私の意思とは関係ない。


 割れた窓から飛び込んでくるのは多数の大根。白く太いそれは凄まじい勢いで飛んでくる。そして、そのすべてが、ポムリスを狙っている。


「あば! あば! あばばばば!」


 ポムリスは全身に大根を受け落ち着いてはいられない。


 だがそれで終わりではない。


 今度は空が雨雲に覆われる。

 降り注ぐ大根の雨。

 小降りな大根が大量に降り注げば、それらは室内にも入ってくる。


 部屋を満たす大根臭……。


「うわっ、あ、うわわわ、ああ、うわっ」


 その様子を見てから、私は実家へ帰った。



 ◆



 あれから数年、私は、親の知り合いである男性と結婚して穏やかに暮らしている。


 夫は仕事が忙しい。

 けれど私はそれを寂しく思ってはいない。


 なぜなら、彼は愛してくれるから。


 仕事は忙しい彼ではあるが、帰宅して二人になった時にはとても丁寧に扱ってくれるので、不満はない。


 むしろ幸せ、幸福の中にある。


 ちなみに。


 元婚約者のポムリスだが、彼はあれからも毎日のように飛んでくる大根に襲われるようになったそうだ。で、ある時大根に襲われて転倒し後頭部を打ってしまったらしく、それによって落命してしまったそうだ。



◆終わり◆

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