人魚姫は婚約破棄されても幸せを掴む。~怒った父は復讐す~
人魚族の姫であるエリーゼには婚約者がいた。
婚約者は人間の王子。
名はオルケイという。
エリーゼは幼い頃から別種族である人間に興味を持っていたため、オルケイと婚約することになった時も嫌だとは思わなかったし、関わっているうちにオルケイのことを好きになった。
けれどもオルケイはそうではなかった。
彼は受け入れられなかったのだ。
婚約者が、未来の妻が、人間でないということを。
「悪いが君のような人間でない者と生きてゆくことはできない。よって、君との婚約は破棄とすることとした。僕は君とは生きない。だからもう消えてくれ、僕の前から」
その日、オルケイは、わざわざエリーゼを呼び出してそう告げた。
「そんな……どうして……」
「どうしても何も、君と生きることが嫌になったんだ。できるなら我慢しようと思っていた、でも無理だった、それだけのことだ」
エリーゼは泣き出してしまう。
しかし彼は容赦ない。
涙を流すエリーゼを強制的に城から追い出した。
◆
帰ってきたエリーゼから事情を聞いたエリーゼの父は激怒した。
そして彼は復讐を決意する。
オルケイがよく海へ散歩に来ることを知っていた彼はその際に復讐を行うことに決めた。
そして翌日、作戦は決行され――その結果、オルケイは、海の散歩中に海中へ引きずり込まれて死亡することとなった。
王子としてはあまりに呆気ない最期であった。
◆
その後エリーゼは漁師が多くいる村の青年と恋に落ち結婚。
彼の親族からも大事にされて。
種族を越えた幸せな家庭を築くことに成功した。
◆終わり◆




