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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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急に婚約破棄されました。しかし幸せにはなれたのです。ちなみに彼は残念なことになったようですが……どうでもいいことです。

「確かにお前は美人だよ。そう思ったからこそ、お前と婚約してやったんだ。だが……実際婚約してみて分かった、お前は顔しか取り柄がないと。忠実さもない、奉仕もしない、お前は顔だけが良くて女としては終わっている女だ。そのことに関わってみて気づいた。だからもうお前とはやっていけない。よって、婚約は破棄とする」


 その日、私は、婚約者エルテバンからそんなことを告げられてしまいました。


 その時が来るのはあまりに突然で。

 すぐには何がどうなったのか分かりませんでした。


 だってそうでしょう? いきなり婚約破棄ですよ。いきなりそのような想定外なことを言われても脳が追い付かないというもの、それは当然のことでしょう?


「俺はもっと可愛くて忠実な女と幸せになるんだ」

「では私はこれで?」

「ああそうだ、もう消えてくれていい」

「そうですね、では……失礼いたします」

「じゃあな。永久に」


 こうして私とエルテバンの関係は終わってしまいました。


 けれども悲しくはありません。

 少し悔しさはありますけれど。

 私はただ未来を見据えるだけです。


 その日の空は青く澄んでいて、まるで、私の新たな出発を祝福してくれているかのようでした。


 その後しばらくは実家で過ごしました。

 庭の花の世話をしたり、他国からの文化である折り紙を練習したり、お菓子を作ったり、色々なことを楽しみながら穏やかに生活しました。



 ◆



 あれから数年、私は、良家の子息と結ばれました。

 今は彼の家で暮らしています。

 婚約破棄後に経験を積んでいた花の世話と折り紙が夫に大層気に入られたので、それを思えば、あの日々も意味はあったのだと思えます。


「ねぇねぇ、折り紙折ってくれないかな」

「何を折ります?」

「えーと、何だっけ、この前言っていた……鶏?」

「鶴ですか?」

「そう! それそれ!」


 夫はたびたび「折り紙を折ってほしい」というようなことを言ってきます。

 かなり好きなようです。


「良いですよ、何色にします?」

「えーと……青、とか?」

「青ですね。では、この辺の色でしょうか。よければ選んでください、青でもいろんな色がありますので」


 青系の折り紙を数枚見せて選んだもらうことにしました。


「複数でもいい?」

「はい」

「えーとじゃあ……これと、これ! どうかな?」

「分かりました」

「嫌だったら言ってよ?」

「いえいえ。ではこれで折りますね」


 私はこれからも彼と穏やかに生きていきたいと思っています。

 それが今の願い、望みです。


 そういえば最近エルテバンのその後について聞いたのですが、彼は一人の女性と結婚するも複数人と同時不倫をされ、それによって自信を失ってしまったそうです。


 で、それ以来、彼は酷く憂鬱になってしまったそうで。

 聞いた話によれば、朝から晩まで涙が止まらない日もあったとのことです。


 そんなある日、エルテバンは衝動的に妻を刃物で襲ってしまい、殺めてしまったそうです。


 結局二人は離婚となり。

 エルテバンは殺人の罪で逮捕されたそうです。



◆終わり◆

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