姉が自分より下でないと絶対に納得しない妹が厄介なので、離れて生きていくことにします。ゆくゆくは縁も切るつもりです。
私には二つ年下の妹がいる。
彼女の名はオフェリー。
容姿こそ可愛らしい彼女だが、その心は驚くほど汚く、これまでも彼女は私をことあるごとに貶めてきた。
オフェリーは私が自分より下でないと絶対に納得しない。私に良いことがあろうものなら、速やかに邪魔をしてきて、私の身に起こる良いことを叩き潰そうとするのだ。
過去には、婚約者との関係を潰されたこともあったほど。
彼女の「姉が下でなくては納得できない」という思いは、想像を絶するほどの凄まじさなのである。
それはつまり、彼女が近くにいる限り私は幸せにはなれないということ。
だから私は家を出た。
妹から離れるために。
私なりの幸せを手に入れられる道を行くために。
そうして一人王都へ出た私は仕事をして稼ぎ生活していたのだが――ある時道で倒れている小型魔物を助け傷の手当てをしたことから王子と知り合うこととなる――というのも、その小型魔物は誤って城から脱走してしまった王子の飼い魔物だったのだ。
それを助けたことで私は大変感謝された。
さらに城へ招かれることとなり。
いつの間にやら王城へ通うようになっていった。
その後私は王子と結婚することとなる。
結婚後は王子が飼っている小型魔物たちの世話係のようなことをしながら城で生活。家族との縁は王子に事情を説明してから切った。手続きをして、何とか縁を切ることができた。これでもうオフェリーに絡まれることはない。それに、たとえ絡まれたとしても、姉妹ではなく他人だから逃げることができる。
ここから新たな人生が始まる。
もう誰にも邪魔されない。
名誉を傷つけられることもない。
◆
あれから数年、私は今も夫である王子と共に穏やかに生活できているが、元妹のオフェリーは幸せを掴めてはいないそうだ。
聞いた話によれば、彼女は好きになった男性を追いかけ回し親の力も利用して婚約まで持ち込むも婚約期間中にこれまでの悪事について聞いた婚約者から婚約破棄を告げられてしまったそうだ。
無理矢理婚約しても上手くはいかない、そういうことを、身をもって証明したようだ。
で、オフェリーはそれによってすっかり落ち込んでしまい、今では抜け殻のように何もせずただ生きているだけというような状態だそうだ。
◆終わり◆




