兄の婚約者にはめられた王女は協力者を得て真実を明るみに出す。~そして幸せに生きてゆくのです~
私はこの国の王女。
しかしこのたび犯罪者として拘束されてしまった。
はめられたのだ、王子――兄の婚約者に。
兄の婚約者トルネアは自作自演の国王暗殺未遂を起こし、王女派――つまり私の関係者の仕業だということにし、私を犯罪者とした。
私は何もしていない。
何度も主張したけれど無駄で。
すぐに処刑はされないものの。
身の自由は失って。
また、それによって、既に決まっていた貴族の男性との婚約も破棄されることとなってしまった。
持っていたものの多くを失ってしまったのだ。
くだらない嘘によって。
それでも私は折れなかった。
私は父を殺そうなどということはしていない。
それが真実なのだから。
いつまでも本当のことを言い続ける。
そんな中、私に、一人の協力者ができた。
アーロンという男性。
彼は私に味方してくれた。
長年調査員をしていたという彼は、私の無実を証明するべく動き出してくれた。
◆
「――ということですので、陛下、王女様は国王暗殺など行ってはいないのです」
今日、アーロンは、私の父に説明してくれた。
「な……。それは事実なのか? あの事件はトルネアによる自作自演だった、なんて……正直信じられない」
「しかし、既にお見せした通り、証拠があります」
私たちは戦いをやめない。
私の名誉を守る戦いなら、守りきれるまで終わらないのだ。
◆
その後、国王主導の調査が開始され、その結果――国王暗殺未遂に使われた薬品がトルネアの実家が扱っている商品であることが判明した。
私には罪はない。
そう認められ、ようやく自由を取り戻す。
「ありがとうございました、アーロンさん。本当に助かりました。本当に、その……何とお礼を申し上げれば良いものか」
「良いのです、お礼など」
「しかし! あのままでは酷い目に遭うところだったのです! 貴方がいなければ本当に危なかった……心から感謝しています」
真実を証明できたのは、名誉を守るための戦いに勝てたのは、すべて彼がいてくれたからだ。私一人ではできなかった。たとえ証明できたとしても、きっと、もっと長い時間がかかっていただろう。彼がいなければもっと多くの人生を捨てることとなってしまっていたはずだ。
◆
その後、暗殺未遂を行ったうえ王女のせいということにしようとした罪で、トルネアとトルネア一族は全員処刑となった。
そして私は、アーロンと生きることにした。
◆終わり◆




