婚約破棄された令嬢は魔王の妻となり復讐する。~身勝手な王子に復讐を~
良家の生まれの令嬢スズレアは王子パルの婚約者だった。
しかしパルにはリーナという名の愛人がいて。
パルはスズレアを愛してはいなかった。
「スズレア! 本日をもって、貴様との婚約は破棄とする!」
その日、スズレアはパルから婚約破棄を宣言される。
「君はリーナを虐めていたそうだな! まったく、君がそんな悪女だったとは思わなかった。王子たる僕がそんな女を妻とすることはできない」
唐突にまったく知らない話を言われたスズレアは戸惑いの表情を浮かべることしかできない。
「お待ちください、私は虐めてなどいません」
「嘘をつくな!」
「いえ、嘘などついていませんし、嘘などつきません」
「ならばリーナが嘘をついたと言うのか!? 許せん! よくもそのようなことを! もういい、お前は消えろ! リーナを虐めたうえまだ貶めようとするお前の顔など二度と見たくない!!」
感情的になったパルは王子の力を使いスズレアを城から追放した。
スズレアは胸の内で密かに怒りの炎を燃やしていた。
あの愚かな王子をどうしようか。
彼女の中には黒いものが渦巻いていた。
そんなスズレアの前に現れた、魔王の手下。
「貴女、あの愚かな王子に復讐したいと思っているようですね?」
「……ま、少しは」
「なら我々の王と共にあの国を潰しませんか?」
「あの……すみませんが、意味が」
「我々の王は探しているのですよ、共に生きてくれる人物、女性を」
スズレアは元々は人を傷つけようとするような人物ではなかった。が、今はもう躊躇なく傷つけることだってできるくらいの感情の持ち主となっていて。
だから、魔王の手下の提案を受け入れた。
「分かりました。……ぜひ」
「良かった! では、これから、よろしくお願いしますね!」
こうしてスズレアは魔王のもとへと向かった。
そして魔王と結婚。
その後魔王軍はパル王子のいる国へ侵攻を開始した。
パル王子がいる国も人間の国の中ではそれほど弱い国ではない。しかし彼らも魔王軍の前ではそれほどの力はなく。パル王子がいる国はあっという間に壊滅した。
「妻よ、パル王子という男とその女であるリーナという者を捕まえたが、確か貴女の恨みの対象だったな? どうしようか? 彼への対処は貴女に任せたい」
「どのような対処があるのでしょうか」
「そうだな……ま、何もなく生かしておくということは難しいだろうな、王子ゆえ。ただ、生を終わらせることなら、どのようなことでもできる。さっくり処刑するでも良いし、罰を与えてからでも良い」
スズレアの意見もあって、パル王子はリーナが拷問され死刑となるところまでを見届けたうえで処刑されることとなった。
そうして二人はこの世から去った。
「魔王様、すみませんでした。何というか……私の勝手であのようなやり方をさせてしまって」
「いや、よい。協力してくれた礼だ」
仕返しする相手はもういない。
スズレアはこれからは己の幸せのために生きてゆくことにした。
己が悪であると分かっていながらも。
それを認めながらも。
それでもなお、己の幸せを追求し、進むことにした。
◆終わり◆




