我が国の王子王女は四人いるのにまともな方がいないのです。どんな環境で育てればそんなことになるのやら。
我が国の王子王女は計四人いるのだが、その素行はあまり褒められたものではない。
そして、中には、酷い目に遭って落命した者もいる。
どうでもいいことかもしれないが。
せっかくなのでここで話すこととしよう。
自由に育てられた彼らは、過剰にのびのびと気ままに育ち、残念なことになってしまった。
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まず、第一子、その子は男性だ。
つまり長男。
まさに国王となるはずだった人である。
けれども、ある程度の年齢になると、女性にやたらと手を出すようになっていった。
彼はどんな女性にでも手を出した。
大臣の娘、王家の男性の妻、侍女、彼を憧れている女性――相手の身分は様々。
彼は女性を毎日のように自室に呼んでいた。
そして一夜きりの関係を結び。
過剰なまでの関わりを楽しんだ後、別れを告げる。
そういうことを繰り返していた彼は、二十代半ばに女性から病気を貰ってしまい、その治療の間女性と仲良くできないことを苦に自殺した。
第二子、その子は女性、長女。
彼女は幼い頃は純粋無垢な『まさに国の頂にいる人』といった雰囲気の女の子であった。
けれど、彼女は、十八で学園に通い始めてから大きく変貌した。
学園の生徒と深く交流するうちに夜遊びを繰り返すようになり、真夜中まで仲間と街をふらつくようなことも増えて――しまいには、禁止薬物に手を出している、という話まで出てきて。
そんな状態だったため、子どもの頃から決まっていた婚約者からは婚約破棄を言いわたされ、王女として生きてゆく未来を失った。
彼女が今どこにいるのか、国民向けには発表されていないが。
あるルートからの情報によれば。
明かせないような職場で働いているとのことだ。
ちなみに、王家とは縁を切った形となっている。
そして第三子、男性、次男だが――彼は父の後を継ぎ国王になりたいと強く願っているようだ。
しかし、そのために邪魔となりそうな者を暗殺しているという黒い噂もあり、皆にはあまり良く思われていない。
一応彼が正当な後継ぎとなっているものの。
国民には受け入れられておらず。
すんなり王となれるのかどうかはまだ謎である。
第四子は女性、彼女は気ままでわがままであり、幼い頃から周囲の人たちを奴隷のようにこきつかっているそうだ。
特に大きな悪事は出ていないものの侍女虐めが酷いという話は出ており、また、城で働く男性の中の気に入った人に迫るような真似をしているという噂もあるので、女性国民からは非常に嫌われている。
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この国はどうなっていくのやら……。
まともな後継ぎがいないというのは辛いものだ。
◆終わり◆




