自分が婚約破棄されたからと私を羨み私と彼の関係を壊そうとした妹は結果的に自滅することとなりました。
私と妹ルルは二つの年の差。
それゆえ婚約者が決まったのも同じ頃だった。
私の婚約者はたぬきのような容姿の領地持ちの家の息子。
ルルの婚約者はまだ資金力はない新興領地持ちの家の三男の美男子。
それが決まった日から、ルルは、ことあるごとに私に絡んでは「私の婚約者の方がかっこいいし華があるのよね~」などと言ってきた。彼女は自分の婚約者を心から気に入っていたが、その一方で、私の婚約者の容姿を貶めてきていた。
私は彼を大切に思っていた。
だからこそ不愉快だった。
姉の婚約者の容姿なんてどうでもいいじゃない、と言いたくなったこともあったくらいだった。
――そんなある日、ルルは婚約破棄された。
ルルは婚約者から「もっと可愛くて魅力的な女性に出会ったから君はもういいよ、じゃ、ばいばい」と言われさらりと切り捨てられたそうだ。
彼女はそれからしばらくずっと泣いていた。
それに関しては可哀想にと思っていたのだが。
いつしか彼女は、婚約者と上手くいっている私を羨み、憎むようになっていった。
ルルは私をいつも悪く言う。
卑怯だとか何とか。
自分が上手くいかなかった、そのストレスを、私に向けて放つのだ。
迷惑でしかない……。
そうしてやがて迎えた私の結婚式の日。
ルルは銃を取り出して。
私たち二人を狙い撃ちしようとしたが――銃が爆発してしまったことで、逆にルルが落命した。
「恐ろしい妹さんだね」
「すみません……」
「でも、君が無事で良かったよ。安心したよ」
「ありがとうございます」
「ではこれからもよろしくね」
「こちらこそ!」
こうして私は彼と結ばれた。
不幸になどなりはしない。
私は細やかでも愛おしい幸福を掴むのだ。
――あれから何度も夏が過ぎ冬が過ぎた。
私は今も彼と愛し合っている。
「ルネルさん! 例のハーブ摘んできたよ!」
「あ、ありがとう」
「これだよね?」
「そうそう! ありがとう、おかげでまたハーブティーが作れるわ」
「やったぁー」
私はこれからも彼と共に生きてゆくだろう。
今は迷いなくそう思えている。
「ルネルさんのハーブティー、好きなんだよー」
「前も美味しいって言ってくれてたわね」
「うん! あ、砂糖は入れてね? 砂糖入りが好きだから」
「太るから多く入れ過ぎちゃ駄目よ」
「気をつけるー」
「大丈夫? 本当に分かってる?」
「うんうん」
共に生きてゆく穏やかな日々、それが何よりもの宝物。
「ルネルさんはあまり砂糖入れないね」
「ええ、無糖派なの」
「へー」
「珍しい?」
「僕の家とか周囲はわりと砂糖入れる派が多かったからね」
「そうなの」
「ルネルさん家は?」
「父は無糖、母は微糖、って感じ?」
「おおー」
◆終わり◆




