国王の妻でしたが彼の行いがあまりに酷いので意見を述べてみたところ、激怒され、ほぼ強制的に離婚とされました。
私はこの国を治める若き国王の妻だった。
けれども夫は浮気が酷く。
一夫多妻制ではないというのに、何度も何度も、私ではない女性と深い交流をすることを繰り返した。
これまでは我慢してきた。
けれどもさすがにもう十五回目だ。
我慢にも限界というものがある。
そう思い、夫に対して控えめながら意見を少し述べてみたところ、夫は激怒した。
「お前! 国王たる俺に何ということを! ああそうか分かった、ならもういい、理解してくれないのならお前なんぞ必要ない……お前とは離婚だ!!」
結果、私は切り捨てられた。
これでも数年間妻として彼のために生きてきた。彼の仕事が上手くいくようにと日々支えてきたし、できることはしてきた。だから少しは情を持ってくれているものかと思っていたが、そんなことはなかったみたいだ。彼にとって私とは都合の良い存在だったのかもしれない。ただの駒、使えないなら要らない――その程度だったのかもしれない、私が力になれていると思っていただけで。
こうして私たちは離婚することとなった。
その後私は家族で隣国に移り住むことに。
国王があんな人であると知ってしまった以上その国にはいたくなかったのだ。
個人的な事情と言えばその通りだけれど――幸い両親は理解してくれたので順調――その点に関して、二人には強く感謝している。
隣国へ引っ越してから、私は、その国で仕事を始めた。
もといた国の文化を利用したビジネスだ。
隣国の人たちにとっては他国の文化は新鮮だったようで、人気を博し、富を築くことができた。
元王妃という肩書も――ある意味では役に立ってくれた。
一方、元夫である国王はというと、あの後浮気を繰り返していたという事実が人々に知れ渡ったことで人気を急落させたそうだ。また、国民の中には国王の行いを批判する過激な人もいたそうで。そんな国王は、ある時、博物館の視察中に過激な国民に襲われ落命したそうだ。
◆終わり◆




