婚約破棄された後、父に付き添う形で参加した会合にて、素晴らしい出会いに巡り合えました。
「ガチでお前ムリ。婚約、破棄するから」
その日、私は、婚約者である青年ルエレスからはっきりとそう言われてしまった。
その言葉が二人の縁を断ち切った。
すべてを終わらせた。
そう言われてしまってはこれまでのようにはいられない。
「そうですか……はい」
悔しかった。どうして、とも思った。けれども拒否などできるはずもない。女側にはそのような権利はないのだ。ということで、私は、その婚約破棄を受け入れた。道はそれしかなかった、だから、その道を選んだのだ。
「じゃーな、バイバイ。二度と現れるなよ」
◆
その後私は父に付き添う形でとある協会の会合に参加した。
そこで一人の青年に出会う。
彼は気さくな良さげな人だったが、領地持ちの家の子息とのことだったので、正直驚いた。
領地持ちの家の子息なのに威張っていない――その点に驚きがあったのだ。
そうして私は彼に惹かれていく。
けれども一方通行ではなくて。
彼の方も私を気にしてくれているようだった。
それからしばらく交流を重ね、その後に、私は彼と結ばれた。
彼と出会えたから掴めた幸せ。
恵まれた今。
これはもう絶対に手放したくはない。
私は彼を抱き締め続ける――いつまでも、永久に。
ちなみに元婚約者のルエレスはというと。
別の女性と婚約するも何度も不倫を繰り返し裁判に持ち込まれたそうで、大金をもぎ取られることとなったそうだ。
◆終わり◆




