婚約破棄されても、幸せにはなれます。~夫と過ごす幸せな時間~
かつて「女なら! 愛想を振り撒けよ! それができねーならただのくそだろ!」と言われ婚約破棄された私。
でも、あれから二年が経って、今は夫と穏やかに暮らすことができている。
「大丈夫? 何だかぼんやりしてたよ?」
夫は優しく家事も得意。
今もこうして自作の飲み物を運んできてくれている。
「ああ……大丈夫、ちょっと昔のことを思い出していただけよ」
「昔のこと?」
「ええ。前に言ったでしょ、前の婚約者におかしなこと言われて婚約破棄されて、って話」
「あっ、それ? ……ごめん、説明させてしまって」
「ううん、いいの。気にしないで。もう気にしてないから」
夫が作ってくれた飲み物を飲む時、最高に幸せを感じられる。
もちろん食べ物も同様だが。
「あ、これ美味しい」
「本当に!? やったぁ! 良かったよ、ハーブを使ってみたんだ」
「へぇー」
「私、貴方が作ってくれたものを口にしている時が一番幸せなの」
「えっ」
「ありがとう、本当に……いつも」
「えっ、えええっ、そんな! そんなこと! ありがとうって言うべきなのは僕の方だよ!」
ちなみに、かつて「女なら! 愛想を振り撒けよ! それができねーならただのくそだろ!」と私に言った彼は、今はもうこの世にはいない。
彼は私との婚約を破棄した翌日に急死したのだ。
亡骸も酷い状態だったと聞いている。
◆終わり◆




