母親の嘘を信じ込んだ婚約者に婚約破棄されてしまいました。けれども大丈夫、私には婚約希望の連絡が続々届いています。
私にはプルテストという婚約者がいるのだが、私は彼の母親に嫌われており、ことあるごとに意地悪をされたり事実でない話を言いふらされたりと色々されてきた。
そんな中で迎えた、ある日。
「母から聞いたよ。君、僕の母に失礼なことばかりしているそうだね」
プルテストに呼び出された。
「失礼なこと……?」
「ああそうだ。なんでも、母のことを悪く言ったり言いふらしたりしているんだそうだね。まさか君がそんな人だったなんて、驚いたよ」
いや、おかしい。
でもあの人ならそういうことを言ったとしても不自然ではない。
自分が気に食わない者に対してなら何でもする人だから。
「待ってください。そのようなこと、していません。私はそのようなことはしていないのです」
「嘘だね」
「なぜ!? 何か証拠があるのですか?」
「母がそう言ったんだよ! ……母が嘘をつくわけがない、だから、嘘をついているのは君だ」
どうやらプルテストは洗脳されきっているようだ。
この感じだと私が何を言っても無駄だろう。
「ということで、僕は、君との婚約の破棄を宣言するよ」
こうして、私と彼と関係は終わりを迎えた。
でももういい。
それでもいい。
このまま彼といても彼の母親に色々されるだけだろうから。
◆
その後、私が婚約破棄されたことを知った複数の男性から、婚約希望の連絡が届いた。
毎日のように誰かが家へ来て。
対応がとにかく忙しくて。
まるで凄まじく忙しい仕事に就いているかのようであった。
で、色々吟味した結果、私は一人の青年を選んだ。
「オルフレドさん、私、貴方と共に生きたいです」
「えっ! 本当ですか!」
「ぜひ。お願いします」
「う、嬉しいです! ありがとうございます! 僕も貴女と生きていきたいです!」
こうして、歴史ある領地持ちの家の子でありながらも油断せずこつこつ働き自分でも富を築いているオルフレドと結婚した。
◆
あれから六年、私は、オルフレドと彼との間の子二人と家族四人で王都から少し離れたところにある屋敷で生活している。
私は家のことをして。
彼は仕事に打ち込んで。
そうやってお互いができることをやっていくことで穏やかな家庭を築いている。
一方で、プルテストはというと、気に入った女性と結婚したもののいざ結婚してみると毎日厳しく対応され罵倒されで、やがて心を病んでしまったそうだ。で、実家に帰ったそうだが。その三日後に、熱心に看病してくれていた母親が何者かに殺害され、そのショックで彼は自ら死を選んでしまったそうだ。
◆終わり◆




