表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/1194

婚約破棄された悔しさによって生まれた力で奇跡を起こす者がいました。

 中流寄りやや上よりの家に長女として生を受けた、レリーナ・バレ・リナンベンス。

 彼女は幼い頃から淑やかで完璧、周囲から嫉妬の目を向けられてもなお純粋な心を持って育ち、嫉妬する者に対してであっても上手く接することができるような広い心の持ち主でした。


 しかし、とある事件が彼女を一変させます。


 彼女には婚約者がいました。

 彼女はその人を心の底から愛し「ずっと一緒にいたい」と語ったほどでした。


 ですがその彼が婚約破棄を告げたのです。


 理由は「完璧過ぎて気まずいから」などというものでした。


 彼女は婚約破棄を受け入れます。

 その時でさえも彼女は冷静で、大人びている……そう見えていたのですが。


 レリーナは驚くほど悔しがっていました。


 その悔しさはやがて彼女に人離れした力を与えます。


 彼女がどんと足を一度だけ踏み鳴らせば、地面に穴が空き、その穴は星の反対側にまで達しました。つまり、星を貫通したのです。


 この時に空いた穴は後に遠く離れた国を繋ぐ初のトンネルとなり人々の移動に貢献したのですが、それはまた別の話……。


 もちろんそれだけではありません。

 彼女の神をも超越しそうな力は凄まじいものでした。


 心が晴れないレリーナがはぁと小さく溜め息を漏らせば、吐き出された息は大きな竜巻となり地上を駆け暴れまわります。

 子どもが遊んでいたボールが転がってきたからと投げ返せば、子どもたちの合間を凄まじい勢いで駆け抜けてゆき家を数軒貫いて海の果てにまで飛んでいきます。


 彼女は次々と信じられないような現象を起こします。


 ただ、それが悪いことばかりかというとそんなこともなく。

 むしろ世に貢献することもありました。


 魔物の群れが村を襲った夜には、レリーナが一人で戦い、あっという間に魔物を全滅させました。


 敵国が攻め込んできた時には近くにあるものを手当たり次第敵へ投げつけ、敵国の兵や乗り物をどんどん破壊しました。


 そういう良い働きもあった、それは事実です。


 それから数年が経ち、レリーナは『国を護る戦女神』として崇められるようになりました。


 人々は彼女に日々感謝し祈りを捧げます。

 そして彼女は人々の平穏のために戦い続けます。


 国は平和になりました。


 ただ、レリーナの元婚約者だけは不運に見舞われるようになり、あれ以来毎日のように不幸なことが発生するようになってしまっています。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ