銀髪の婚約者に婚約破棄されましたが、その後参加したティーパーティーにて運命の出会いを果たしました。
「お前との関係を続けてもきっと何も良いことはないだろう。そう判断した。よって、お前との婚約は本日をもって破棄とする」
四つ年上の銀髪の婚約者オルガレンから急にそのようなことを告げられてしまった。
「待ってください、いきなり過ぎます。何か理由があるのでしょうか? もしそうなら、できる範囲で構わないので、具体的な婚約破棄の理由を教えてください」
「黙ってくれ」
「え……」
「いいから黙ってくれ、と言っているんだ。お前はいちいち余計なことを聞くな、そういうところが嫌いなところだ」
ええ……何一つ教えてもらえないなんて……。
さすがにショックだ。
婚約破棄、と言うなら、きっと何かしらの理由はあるのだろう。けれどもそれを教えてもらえないとなると、どうしても、言えないような理由なのかなと思ってしまう。
だってそうだろう?
正当な理由があるのならさらりと言えるはずではないか。
けれども彼は頑なに話そうとしない。
「いいから、さっさと消えてくれ。もう顔も見たくない気分だ」
こうして私はオルガレンに捨てられた。
どういう理由で婚約破棄されたのかさえ教えてもらえないままで。
◆
その一週間後、私は王都で開かれるティーパーティーに参加することとなった。これは、父の知人が誘ってくれたものであった。これまでティーパーティーなどには行ったことがなかった、私にとっては初めての経験であった。
だがそこで運命の出会いを果たす。
私は騎士ポレシトレアと出会い、紅茶を飲みつついろんなことを話し、親しくなったのだ。
こんなことになるなんて思っていなかった。
けれども関係は着実に進展していて。
気づけば彼からもう一度会おうと誘われていた。
で、私はそれを受け入れ、また後日彼と会うことを選んだ。彼と喋ることは楽しかったからだ。
それから何度も顔を合わせ、ちょうど十回目の日。
「よければ貴女と共に生きたいと思っているのですが、どうでしょう?」
ポレシトレアからそう言われ。
「もちろん。ぜひ、お願いします」
私はそう答えた。
◆
あれから八年、私は今もポレシトレアと共に夫婦として生活している。
彼との関係は今でも良好。
二人で話をすることもよくある、それほどに仲が良い。
ちなみに、オルガレンはというと、あの後一人の女性と結婚したそうだが上手くいかなかったようだ。
散々侮辱され。酷く罵られ。最初のうちはかなり非常識なところまで踏み込んだ夫婦喧嘩に毎日巻き込まれていたようだが、今ではオルガレンが一方的に虐められているような状態らしい。しかも、そんな関係なのに離婚はさせてもらえず、勝手に出ていかないよう足には鎖をつけられているそうだ。そう、彼は、鍵付きの部屋に監禁されているのである。
可哀想なオルガレン。
でも、まぁ、彼に対して私が同情する必要もない。
◆終わり◆




