心ない言葉をかけられ婚約破棄された私でしたが、意外な特技のある王子と結ばれました。ちなみに、過激な活動をした元婚約者は処刑されました。
「お前はな、女性としての価値が低いんだよ」
婚約者オーガンが真顔でそんなことを言ってくる。
「まず顔がまぁまぁだろ。不細工の極み、というほどではないが、美人の範囲でもない。可愛さもまぁそこそこ。で、そんな程度の容姿にもかかわらず、忠実でない。俺の誘いだってよく断るだろう? お高く留まり過ぎなんだよ。その程度の容姿なら、せめて、頼まれたり誘われたりしたら絶対断らない、くらいのことはしろよ」
どうしてそんな酷いことを言うの……。
「ということで、婚約は破棄とする」
私は捨てられた。
顔がまぁまぁだから?
お高く留まり過ぎだから?
……あぁ、何もかも、考えれば考えるほど切なく悲しい。
幸せになれる未来を信じていたのに。
こんな結末を迎えるなんて。
……あぁ、何もかも、考えれば考えるほど切なく悲しい。
本当に。
言葉で表現するのが難しいような複雑な感情が渦巻く。
◆
その後私は王子と巡り会い、運命的な縁を得て、彼と結ばれた。
反復横跳びが得意な王子。
彼は愉快な人で。
私に無理を言ってくることもないので接しやすくて。
だから、彼と結ばれることが決まった時は、とても嬉しかった。
彼はオーガンとは違う。
同じことにはならない。
そう信じることができた。
ちなみにオーガンはというと、私が王子の妻となったことが気に食わなかったのか『王子の妻がごみレベルであることを批判する会』という組織を立ち上げて私を激しく批判した。
また、最初は言葉での批判だったのだが、徐々に過激になっていって。城に火をつけようとしたこともあった。
それに危機感を感じた王子は、ついに指示を出す。
で、オーガンを含む組織の中枢数名は拘束され、処刑された。
オーガンは大勢の国民が集まっている前で処刑されたそうだ。
◆終わり◆




