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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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歯ぐきから小さな繊維が出てきたために婚約破棄されました。

 その日、婚約者同士である私と彼は、一緒に紅茶を飲むことを楽しんでいました。


 しかしその最中出てきてしまったのです――私の歯の間から、小さな繊維が。


 もちろん、大きなものではありませんし、目立つものでもありません。本当に小さな、小指の爪の横幅ほどの長さもないくらいの、戦意の欠片でした。色も白で、派手だったり見るからに気持ち悪いようなものでもなかったのです。


 ですが、それを目にした瞬間、婚約者は大声を発しました。


「えええええ! きっしょ! きっしょきっしょきっしょ! 何それ、ごみ? 繊維? 何それ何それ! きっしょきっしょ! きっしょ!」


 彼は騒ぐことに夢中で自分の紅茶をこぼしていることに気づいていません。


「女性なのに歯から繊維が出てくるとかほんとないない何それごみ屋敷出身か何かですかそれに臭そうだし鼻が折れる匂いの百倍くらいの匂いがしそうだし見るからに気持ち悪いしそんなものが出てきた女性も気持ち悪いしそういう女性は絶対風呂なんて入ったことなくて不潔だろうしそういう人の肌って絶対臭いだろうしそれに元から実はちょっと臭くて汚い女性って思ってて一緒にお茶を飲むのも実は苦痛だった我慢してたけど一緒にいるとこっちまで臭くなりそうで論外」


 彼はそこまで言ってから。


「君との婚約、破棄するわ」


 こうして私は急に捨てられました。



 ◆



 その後私はちょっとした出来事をきっかけに知り合った王子と結婚、二人の子にも恵まれ、幸せな居場所を得ることができました。


 一方、元婚約者の彼はというと、近所の二十歳も年上の皆に嫌がらせばかりする女性に気に入られたそうで――彼は、もう十年以上、ごみ屋敷状態になっている女性の家に閉じ込められているそうです。


 女性に無理矢理連れ込まれた日から、一日も、外へは出してもらえていないとのことで、親とさえ一度も会えていないとのことです。



◆終わり◆

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