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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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彼が婚約破棄を告げた瞬間、イコール、彼が死ぬ時です。

 私には婚約者がいる。クルコという名の、二つ年上の茶髪の男性だ。彼と私は婚約者同士なのだが、彼は私を良く思っていないようで、ことあるごとに私に対して嫌みを言ってくる。出会った頃から今まで、彼はいつもそんな感じだ。彼は、口を開けばいつも、私に嫌な思いをさせるようなことを発するのだ。


「お前さぁ、ほんとさぁ、馬鹿っぽいつらしてるよなぁ」


 彼に呼び出されたと思ったら、いきなりそんなことを言われた。


 優雅にベッドに寝転びながら嫌みを言ってくるとは。

 どうしたらそんなに性格が悪くなれるのだろう。


「何ですかいきなり。失礼ですよ。そんなことを言うなんて」

「失礼? は? 事実しか言ってないだろ。あ、あれか! 本当のことを言われたから怒ってるんだろぉ? それなら納得っちゃあ納得だな、はは!」

「はぁ……」

「何だ? 溜め息? ふざけんなよ! そういうとこだよそういうとこ、そういうところが可愛くないんだってぇ。女なら男の前ではいつも明るく忠実に振る舞えよぉ」


 彼は横にしていた身体を縦にする。


「てことで、婚約は破棄な!」


 彼がそう言った瞬間。

 窓から丸太が飛んできて、彼の頭部に激突した。


「えっ……」


 私は思わず声を漏らしてしまった。


 ぺしゃりと床に落ち倒れたクルコ。そこへ大量のカラスが現れた。カラスたちは気絶して倒れているクルコにたかり、生ごみを漁るかのようにつつきまわす。赤いものや体液が垂れてもお構いなし。カラスたちは心ゆくまでクルコをつつくことを楽しんでいた。


 カラスのつつきは数分にわたって行われた。


 で、やがてカラスたちは去っていった。


 けれどもその時にはもう手遅れ。

 時既に遅し。

 クルコは息絶えていた。



 ◆



 あれから数年、あの頃はまだ一人の女でしかなかった私にも家庭ができ子ができ、今は忙しい日々の中にある。

 けれども、愛する人と巡りあえたことは嬉しいことだし、その人と共に生きてゆけることも嬉しくありがたいことだ。


 当然、これから先、苦労だってあるだろう。


 それでも一個ずつ乗り越えていこうと。

 そう思うことができる。



◆終わり◆

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