パッとしないと言われ婚約破棄された私でしたが、気の合う人に出会えたため幸せな結婚ができました。前の彼とは離れて良かったです。
私にはアインという婚約者がいた。
多くの女性から人気だった彼、私のことを『くだらない女』とか『地味過ぎて雑草みたい』とか言ってきていた。
けれども私は耐えてきた。
仕方ないのだ、と思って。
異性から大人気の彼に比べたら私は地味なのだろう、だから仕方ない――そんな風に自分で自分を納得させてきた。
けれど、その努力も、無駄なものだったようだ。
「悪いがお前との婚約は破棄することにした」
今日、アインから、そう告げられてしまったのだ。
「これまで我慢してきたが、やはり、お前のような地味な女と生きることはできない。そんな生涯、想像しただけで嘔吐しそうになる。ということで、お前とは終わりにすることにしたんだ」
彼はすらすらとそのようなことを言う。
「はっきり別れを告げる俺は優しいだろう？ じゃ、そういうことだから、さよなら。二度と顔を見せるなよな」
こうして私はアインに捨てられた。
◆
その後私は親の縁で知り合った人に誘われて王都で開かれるパーティーに参加することになった。
で、そこで知り合ったエルヴィスという男性と仲良くなって。
彼と定期的に会うようになった。
「よければまた一緒に会いませんか？」
「そうですね！ お話したいです」
「良かった……！ 勇気を出してみて良かったです……！ では、また、よろしくお願いします。貴女のこと、色々知りたいです」
こうしてエルヴィスと仲良くなった私。
これまで知らなかった幸せな世界を知ることができた。
彼といるだけですべてが楽しいような……そんな感覚。それは、彼と出会って初めて経験したものだ。
◆
それから一年ほどが経ち、私たちは結婚。
お互い協力していこうと誓い。
穏やかに結ばれた。
彼は私を悪く言いはしない。それに、私のことを気に入ってくれているようだ。その点非情にありがたい。
これからも穏やかに生きていけたら。
そう思う。
◆
ちなみに元婚約者のアインはというと。
気に入った美人な女性と交際するも、色々なものを交わされ貢がされで持っていた資産の九割以上を失うこととなり、資金が尽きた途端に捨てられたそうだ。
以降、女性不信になり。
今では女性を見るだけで嘔吐してしまうようになってしまったそうだ。
◆終わり◆
