国王暗殺未遂を起こしたと言われ、婚約破棄されたうえ牢へ入れられてしまいました。しかし、それは私の罪ではないと証明できました。
「まさか君が我が父を国王を殺めようとしているとは、な……」
ある日突然、婚約者で王子でもあるガーレックからそんなことを言われ。
「もはや君を信じることなどできない! よって! 君との婚約は破棄とする!」
さらに、婚約まで破棄された。
そうして私は牢へ入れられることとなる。
まともな裁きはなく。
けれども、王子の決定だったので、周りの誰もが従うしかなかったのだ。
国王を殺めよう?
何を言っている?
まったく心当たりがない……。
そう思っていた私は、牢に入れられてからしばらくして、何がどうなっているのかを知ることができた。
その話によれば。
ガーレックに以前から付きまとっている侍女あがりの愛人のような女性がいるらしく、そのエリエサという女性が私を良く思っていないらしくて。王子に婚約者ができたことが気に入らない彼女は、秘密裏に国王暗殺未遂を起こし、それを私の関係者が行ったことだとガーレックに吹き込んだそうだ。
はめられたということか……。
これは何としてでも無罪を勝ち取らねば。
そしてすべてはエリエサのせいだと証明しなくては。
それから私は調査を開始した。国王暗殺未遂を起こしたのはエリエサなのだと証明するべく、できることは何でもした。私は牢にいてもできることがないわけではない。
それから数週間。
証拠を集めた私はそれを国王へ提出。
暗殺未遂を起こしたのは私ではない、と主張。
すると国王は「こちらでも改めて調査する、待っていてほしい」と返事をくれた。
そして一ヶ月後。
国王は、私の主張を正当なものと認める、と宣言。
こうして私は解放された。
「ああ! 良かった! 無事解放されて……!」
「娘がどうなるかと……うっ……ずっと、もう……ううっ……不安で不安で……っ……眠れなかった……」
解放される日、両親が迎えに来てくれた。
「あなた、泣きすぎよ」
「あっ……ああ……しかし、だが、う……ううっ……良かった……」
父はずっと泣いていた。
鼻水を垂らしながら。
その後、エリエサは密かに行っていたことが明るみに出てしまい、それによって彼女は国王暗殺未遂を働いたということで牢屋に入れられた。
また、私に疑いがかかっていた間ずっと私の死刑を強く望んでいたこともあって、国王は彼女を死刑とすることを決めた。
それから一ヶ月、エリエサは死刑となった。
その後ガーレックは何度か「改めて、婚約したい」とか「やはり君がいい」とか連絡してきたけれど、私は応じなかった。ガーレックへの対処はすべて父にしてもらって。そして最終的には「もう二度と関わりません」と伝えてもらった。それが上手くいったのか、以降ガーレックはまったく連絡してこなくなった。
実家へ戻った私は、二年ほどをそこで過ごし、その後に本売りの青年と結婚することとなった。
「王子と婚約していらっしゃったほどの女性なのですよね。本当に……本当に、僕で良いのですか? 僕は一般人ですよ?」
身分がすべてではない。
身分でその人の素晴らしさが決まるわけでもない。
彼といると、そう思う。
「構いません。むしろその方がありがたいくらいです」
「後悔……しないでくださいね?」
「もちろん。しませんよ。私、貴方の本の知識、凄いと思っているんです。だから、これからも、色々教えていただきたいのです」
「それはもちろん! 本のことなら!」
これからは彼と共に生きる。
◆終わり◆




