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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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婚約破棄されたことを家族に話したところ、姉が激怒しました。そして彼は姉に復讐されたのです。……正直意外な展開でした。

 そこそこ裕福な家の次女として生まれ育った私には婚約者がいました。


 彼の名はフローレンス。


 見た感じ好青年で、社会での評判も高い。

 そんな人物でした。

 友人からも、私が彼との縁を得たことを羨ましがられたほどでした。


 しかし、そんな彼も完璧かつ善良な人物というわけではなくて。自分に自信があるゆえに、婚約者である私にも完璧さを求めてきて。彼は私の振る舞いに対してことあるごとに注意を投げてきました。経っている時の指先がもっと綺麗でないと駄目、というような、かなり細かいことまで言われたほどでした。


 そんなある日のこと。


「君との婚約だが、破棄することにした」


 フローレンスは私を自宅へ呼び出すとそう告げました。


「あの……私、そんなに大変なことをやらかしたのでしょうか?」

「ふん。分かっていないようだな。君は俺に相応しくない、そして、注意をしても完璧になれない。そんな女に俺の隣にいる資格などないってことさ。それが理由。さすがに分かったか?」


 気に食わないことが降り積もり過ぎた、ということでしょうか。


 そういうことなら仕方ないのかもしれない。

 少々理不尽な気はするけれど。

 ただ、彼はどうしても納得できないのだろう、ということは、これまでの彼の発言を覚えていたなら何となくは理解できます。


「裕福な家の生まれの癖に受けた教育は最低のものだったようだな。……ではこれにて。お別れとさせてもらうよ。さよなら」


 こうして私は話し合いも説得もさせてもらえないまま切り捨てられることとなってしまいました。



 ◆



 その後、私は、フローレンスから言われたことを家族にすべて話しました。


 どうせ隠せやしないこと。

 ならば先にすべて明かしてしまおう。


 そう思ったのです。


 それを聞いて両親は怒ります。

 しかし、その二人よりも怒っていたのが、姉でした。


「あっの、心ない、最低男! 可愛い妹に何てことを! 許さん!」


 怒った姉はフローレンスに仕返しをすることを宣言しました。



 ◆



 それから数日後、姉は、フローレンスが私に対してしてきた心ない言動や行いを世に出しました。


 それにより、彼の良くない部分が皆に知れ渡ることとなり。


 これまでの彼の評価はひっくり返ることとなりました。


 ま、良い面も悪い面も合わせて彼であることは事実なのですけれど。ただ、これまで良いところしか人々に見せていなかった彼だからこそ、悪い面をばらされたことで痛い目に遭ったのです。


 彼の周りにいた女性たちは徐々に離れてゆき、彼はいつしかひとりぼっちとなってしまったそうです。


 そんなこともあり、彼は女性と関われる機会を大幅に失うこととなってしまい、なかなか婚約を決めることができず困っているとのことです。


「ふん! 可愛い妹に失礼なことばっかするからよ! ざまぁ、よ!」


 フローレンスの憐れな姿を知った姉は胸を張っていました。



 ◆



 あれから二年半、私は姉の親友の紹介で知り合ったデザイナーの男性と結婚しました。


 初めて出会った時は、お互いそれほどあまり積極的でないタイプだったこともあってか、それほど言葉を交わせませんでした。けれども、黙っていても、一緒にいると何となく安心感があって。激しく言葉を交わしていなくとも心を通わせることができているような感覚がありました。


 そんな彼と出会えたことを、私は、何よりもの幸運だったと思っています。


 ちなみにフローレンスは今も婚約者が決まらず困っているそうです。



◆終わり◆

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