わがまま妹は婚約者に秘密で他の男と深い仲になっていたために婚約破棄されました。ま、自業自得というやつですよね。私は無関係です。
私には妹がいる。
その名はニネ。
彼女は姉である私より可愛らしい容姿を持って生まれたということもあって親から非常に大切にされて育った。
が、そのために、非常にわがままになってしまった。
いや、厳密には、大切にされて育ったからではない。大切に、ではなく、甘やかして、ということだ。親が甘やかし過ぎたために彼女はわがままになってしまったのである。
そんな彼女にはオーデインという婚約者がいるのだが、ニネは婚約者のことをあまり良く思っていないようで、一応婚約者同士の関係は維持しながらもカイルという他の男と良く遊んでいる。
以前一度深くなり過ぎているカイルとの関係について注意してみたのだが。
「はぁ? うっさいわねぇお姉様。あたしがカイル様と仲良しなのはオーデインが地味でくだらない男だからよ! そうするしかないのよ! だから、すべてはオーデインのせいだわ。あたしは悪くないから!」
そんなことを言い返されただけで終わってしまった。
それから、私は、もう何も言わないようにした。
だが。
今日、ニネが青い顔で言ってきた。
カイルとの関係がオーデインにばれたみたい、と。
「どうしましょ!? お姉様!?」
「うっさいお姉様にはそういうことは言わない方がいいんじゃない?」
「ああ分かったわ! お姉様がばらしたのね!? そうなんでしょ!?」
いきなり意味不明なことを言い出すニネ。
「お姉様! モテモテなあたしに嫉妬しているからって! なんてことをしてくれたのよ! 許せない!」
「私は何もしていないわ。オーデインさんに聞いてみればいい、どこからその話を知ったか。そうすれば、私じゃないと分かるはず」
妹だからと味方はしない。
私を悪者にしようとするならなおさら。
もう彼女へ協力なんて絶対にしない。
どうにでもなればいい、自業自得なのだから。
その後、ニネはオーデインの親を怒らせてしまい、婚約破棄された。さらに、裏切り行為を行ったということで、高額な慰謝料の支払いを求められ。ニネには貯金がほぼなかったため「お金がないので払えない」と返すと。ならば作ればいい、と返されて。ニネはほぼ強制的に女性を売る店で働かされることとなった。
ちなみに、親はニネを救えなかった。
慰謝料を払うべきは親ではなくニネ自身だ、と、向こうの父親がはっきりと言っていたからである。
◆
あれから三度目の夏が過ぎようとしている頃、私は、役者をしていたといいう男性と結婚した。
私は今の暮らしに満足している。
大金持ちでなくてもいい。
穏やかに暮らせるなら、嫌なことを言われないなら、それが何よりもの喜びだ。
ちなみに、妹はというと、今も女性を売る店で働かされているらしい。
ま、彼女の勝手な行動によってそうなったのだから自業自得だし、姉妹といってもやらかしていない私には関係ないことだけれど。
◆終わり◆




