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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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婚約破棄されたこんな日は、草刈りをしながら歌って踊りたいの。~幸せはこの手の内に~

「君のような上品さ不足の女性と生きていくのは無理だと思えてきた。そこで! 君との婚約は破棄することにした!」


 婚約者ルーベルは急にそんなことを言ってきたの。


「え。婚約破棄、ですか?」


 びっくりするよね。

 急に婚約を破棄するだなんて。


 しかも何かあったわけでもないのに。


 揉めたとか、喧嘩したとか、問題が発生していたとか、何かがあったのなら少しは想像できたかもしれないけれど、私の場合はそんなことはなくて。だからとにかく驚きしかなくて。びっくり、としか言えないような展開で。それで思わず「婚約破棄、ですか」なんて面白みの欠片もないことを発してしまったの。


「あぁ! そうなんだ! 君みたいな女性は好きでないんだよ! 最初は我慢できるかと思った、が、やはり無理そうだったので、これ以上耐えることはできないと思い、こうすることにした。残念とは思う! せっかく決まっていたのに、と! でも、無理なものは無理なんだ。理解してくれ。いや、まぁ、理解してもらえずとも婚約は破棄するのだけれどね」


 勝手だなぁ……、とは思ったけれど、でもこれも運命だと思って。


「分かりました! じゃ、そういうことで、さようなら!」


 自宅へ帰ろう。


 婚約破棄されたこんな日は、草刈りをしながら歌って踊りたいの。


 その後実家へ戻った私は両親に婚約破棄されたということを伝えた。かなり驚かれてしまったけれど、二人は受け入れてくれて。ここにいればいい、と言ってくれた。それはとっても嬉しかったな。


 その日は一日中庭の草刈りをした。

 歌って踊りながら。

 快晴の空のような爽やかな色の心で草刈りを純粋に楽しんだ。


 外で動いていると自然と明るく爽やかな気持ちになれる。

 婚約破棄なんてどうでもいいと思えるくらいに。



 ◆



 あれから数年、草刈りをしながら歌って踊る芸能人として有名になった私はコンサートや宴会への出演料で稼いで大金持ちになった。


 普通の娘がこんなに稼げるなんて思う?


 嘘みたいでしょう。


 しかも、自分が、なんて、なかなか思いつかないでしょう?

 そんな未来、想像もしないでしょう?


 自分でもそう思うけれど。


 でもこれは現実で。


 私は本当に有名人となって富を築くことができたの。


 一方ルーベルはというと、あの後何人もの女性と婚約するも少しして不満が出てきて婚約破棄となるということを繰り返していたみたい。


 でも、十人目の女性の時に逆に向こうから不満を言われて婚約破棄されたことでショックを強い受けたみたいで。以降、女性と接することが怖くなってしまったらしく、女性相手だと言葉を交わすことさえまともにできないような状態になってしまったんだって。


 もう結婚は諦めたみたい。


 というか、それどころじゃないみたいね。


 今はほぼ一日中自宅の自分の部屋にこもっているそう。今では女性どころか親とさえまともに喋らないし喋れないってことだから、かなり重症かもしれないわね。



◆終わり◆

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