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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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高圧的な婚約者から婚約破棄されました。しかし余計なことばかり言ってくる親のところへは戻りたくないので、自力で生きていこうと思います。

 十八歳になった年の春、それまで冒険者として働いていた私は親に言われるがままに四つ年上の男性エデルベートと婚約した。


 だが彼は非常に高圧的な人で。

 ことあるごとに私の行いにいちゃもんをつけてきて。


 時には「君みたいな屑」とか「君はすべてにおいて最低」とか私のすべてを否定するようなことを言われもした。


 そのことを両親に相談したこともあったけれど、両親は「アンタの振る舞い方が悪いんじゃないの?」などと言われるばかりで。これはもう両親に相談しても意味がないな、と思ったので、それ以来一度も親には相談しなくなった。


 とはいえ、両親に相談しないからといって解決するわけもなく。


 むしろ、エデルベートからの嫌がらせは加速するばかりであった。


 そんなある日のこと。

 エデルベートに呼び出されたので、またぐちぐち言われるのだろうなぁ面倒だなぁ、と思っていたのだが。


「君との婚約だが、破棄することにした」


 告げられたのは、まさかの婚約破棄。


 意外だった。

 でも少し嬉しくもあって。


「君みたいな女と上手くやっていけるとは思えない。そもそも俺と君とでは格が違うよ。ということで、婚約は破棄とすることにしたのだよ」


 彼の言葉を聞き流しながら、私はどこか浮かれていた。


 そうして終わる関係。


 私は実家へは戻らないことにした。

 どうせまた嫌みを言われるだろうから。


 で、どうしたかというと、冒険者として再び働くことにしたのだ。


 冒険者として働けばお金が手に入る。そうすれば一人でだって生きてゆけるだろう。親のところへ帰っても息苦しい思いをするだけ、ならば、一人で自由に生きてゆくというのも悪い道とは思わない。それはそれでまた別の苦労はあるだろうけれども。でも、親に否定されるよりかはずっとましだと思う。


「あら~、お久しぶり~」

「お久しぶりです。冒険者に復帰したいのですが」

「できますよ~。では手続きをしますね~、こちらに情報の記入をお願いします~」

「あ、はい。ありがとうございます」


 その後私は冒険者として働き出した。



 ◆



 それから数ヵ月、私は、国内の冒険者ランキングで十位にランクインした。

 トップテンの中では最年少だ。

 最年少記録の更新、これは数十年ぶりの快挙だったそうだ。


 ちょうどその頃、国王から『魔物軍からの防衛』という依頼が出され、ほぼ強制的にトップテンはそれを受けなくてはならないこととなった。


 私はそれに逆らいはしなかった。

 報酬があるなら正直何でもいい。

 悪行はさすがに気が進まないしややこしくなりそうなのでやめておくけれども。


 で、十人が力を合わせたことで、ほんの数週間で魔物軍は壊滅した。


 とはいえ被害がなかったかというとそういうわけではなく。

 これは後に知ったことだが、私の両親も被害を受け亡くなったようだった。


 何でも、避難命令を無視して自宅に留まっていたところを魔物に襲われ、何もできず亡くなったらしい。


 亡骸まで魔物に荒らされ、綺麗なものは何一つとして遺らなかったと聞いている。


 だが正直親のことはどうでもいい。

 だって親は私を大事にしてはくれなかった。

 だから彼らへの情はないのだ。


 そして、かつて私を傷つけ切り捨てたエデルベートもまた、魔物軍の攻撃によって落命したと判明した。


 その日の晩、彼は、地域に避難命令が出たにもかかわらずお気に入りの女を家へ呼んでベッドルームで触れ合っていたらしく。その最中に実際に魔物たちが迫ってきて。相手してくれていた女を放置して自分だけ逃げようと半裸で家の外へ脱出したところ一撃加えられて、それによってその場で即死したそうだ。


 あれだけ偉そうにしていた彼の最期がそこまで呆気ないものとは、憐れというか何というか。


 でも、もう私には関係ないことだ。



 ◆



 戦後、国の状態が落ち着いてきた頃に、私は冒険者トップテンの中の一人である男性冒険者と結婚した。


 彼の希望で、結婚すると同時に冒険者は辞めた。


 今は家にいて裏から彼を支えている。


 でも幸せだ。

 彼をこれからも支えていきたい。



◆終わり◆

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