婚約破棄から始まる大冒険! ~魔力持ち令嬢が最強と呼ばれるようになるまで~
そこそこ裕福な家に生まれたリリシアは生まれつき魔力に恵まれている魔力持ちであった。
しかし彼女はそれを活かす道を選ぶことは特にはしておらず。
親の意向もあって普通の令嬢として生きていく道を進んでいた。
だがある日のこと。
「リリシア、君との婚約は破棄するよ」
婚約者ルペスからそう告げられた。
「えっ。そんな! どうして!?」
「母が嫌がってさ。俺はあまり考えてなかったんだけど、母が、魔力持ちの女を家に入れるのは嫌だーって急にごね出したんだ。これはもう無理だなと思って」
「ええー。でも、そんなこと、ちっとも言ってなかったよね?」
「ちょっと前まではな。でも今はもうそのことで頭がいっぱいみたいなんだ」
「……そう」
「だからリリシア、婚約は破棄する。じゃ、そういうことだから。ばいばい」
リリシアは「待って! もう少し話をさせて! 何ならお母さん本人と……」と説得しようとする言葉を発したのだけれど、係員に連れられて、ルペスの家から強制的に出されてしまった。
すっかり落ち込んだリリシア。
彼女は肩を落としながら実家へ帰った。
だが、その翌日、リリシアは親戚のおじさんから世界一周券を貰った。
やけくそになっていたリリシアは、その券を手に冒険に出ることを決意。
親の心配も振り払って。
自らの足で世界中へ飛び立つことを決めた。
◆
生まれつき備わっている魔力を使って冒険を始めたリリシアはみるみるうちに頭角をあらわし、あっという間に凄腕の女冒険者・最強と呼ばれるようになる。
そんな彼女は、大陸内のすべてのダンジョンを三日ずつでクリアし、これまた冒険者界に衝撃を与えた。
だが当人は深く考えているわけではなく。
戦いを純粋に楽しんでいた。
その後彼女はこれまで誰の成せなかった魔王を倒すということに成功し、世界に平和をもたらした女性として世界中の人々から感謝され、世界統一政府の長に就任した。
こうしてリリシアのものとなった世界。
そこに争いはなく。
国境のなくなった世界は平和になった。
リリシアは、仲間であった剣士の男性と結婚しながらも、世界の長として長く活躍した。
そんな幸福な世界の陰で、ルペスとその母親は不幸の道を辿った。というのも、ルペスの恋人となった出身から何からすべて不明な女性に勧められて始めた仕事が詐欺であり、参加していたルペスとその母親は詐欺行為を行ったとして治安維持組織に捕まったのである。二人は牢屋に入れられ、詐欺の額が大きかったこともあって、最終的には処刑された。
◆終わり◆




