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貴方と共に幸せに生きてゆけると思っていたのに……あの春の日からずっと。
あの春の日、花見会にて、貴方に出会った。
「初めまして」
「あ……は、初めまして。花、綺麗ですね……」
「心が綺麗ですね」
「え」
「いや、急に変ですよね、すみません。ただ、花を綺麗に思える心が綺麗だな、と思いまして」
あの日私は貴方に惚れた。
それから関係は変わっていく……そして貴方と婚約できた時、涙が出るくらい嬉しかった。
「共に頑張りましょう」
「はい……!」
「あなたと生きていけることを嬉しく思います」
これからはずっと貴方と一緒にいられる。
そう思うだけで笑みがこぼれて。
一人でいる時でさえ笑いが込み上げてくるほど幸せだった。
なのに……。
「婚約は破棄する」
そう告げられて、私は光を失った。
貴方と共に生きてゆくものと思っていたのに。
それは突如叶わぬ願いとなり。
抱いていた夢は完全に消え去ってしまって。
……貴方が私のすべてだった。
なのに貴方は私を捨てた。
では私はこれからどうすればいいの?
今はまだ、闇の中にいる。
◆終わり◆




