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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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姉が捨てたおっとり系婚約者と結ばれた私は幸せを手に入れることができました。

「婚約、破棄したから。あの婚約者、あんたにあげるわ」


 その日、姉は、さらりとそのようなことを告げてきました。


「あんたなら地味だしぴったりじゃん? はは」


 言われた瞬間は何が何だか分からずただ戸惑うことしかできなかったのですが……話を聞いているうちに姉には他の男がいてそちらとくっつきたいと思っているということが判明しました。どうやら、そういう事情で、今の婚約者とは別れたいようなのです。


 彼のことは気の毒に思えますが……。


 でも、まぁ、そういうことなら仕方ないのかもしれません。


 姉は基本的に自分中心な思考の持ち主。他者のために己の意思を曲げるということは絶対にしない人です。姉のそういうところに多々困らされてきた妹だからこそ分かるのです。そんな彼女ですから、婚約者が相手だからと気を遣ったりはしないでしょう。自分が嫌と思えば切り捨てる、それが姉らしい選択です。



 ◆



 その後、私は、姉が切り捨てた相手であるオーガニと会うことになりました。


「オーガニと申します。ええと……貴女、が」

「妹のエリアです。姉がご迷惑おかけしました。婚約破棄とか何とか姉が勝手を言って申し訳ありません」

「い、いえいえ! 妹さんに罪はありませんよ!」


 私はオーガニに良い印象を抱きました。


 姉からしたら控えめで好めない男性だったのかもしれませんが……個人的には嫌いでないタイプの人です。


「エリアさん、あの、無理して僕と婚約しなくても良いのですよ? 妹さんだからというだけで僕と婚約することを強要されるなんて辛いでしょう。嫌ならはっきり断っていただいても構いません。そうなら僕はそれを受け入れますので」


 オーガニのその控えめかつ寛容なところに惹かれて。


「いえ、ぜひよろしくお願いしたいです。今、オーガニさんの魅力に魅了されつつあるところです」

「えっ。……あ、あの、それはちょっと……恥ずかしい、です、ね」


 真っ赤になるところも可愛らしいですね。

 そういうちょっとしたところにこそ、魅力を感じてしまいます。


「これからオーガニさんのことをもっと知りたいです」

「えっ。照れてしまいます、本当に……嬉しい、です……けど」

「こんな私ですが、よろしくお願いします」

「ありがとうございます……こちらこそ、よろしくお願いします」

「楽しいこと、たくさんしたいですね!」

「は、はい……!」



 ◆



 こうしてオーガニと婚約し結婚にまで至った私は彼と共に幸せに暮らせるようになったのだが、一方で姉は幸せにはなれなかったようです。


 姉はオーガニを捨てる理由となった男性と結婚したそうなのですが、いざ結婚してみると男性は非常に高圧的に出てくる人だったそうで、姉は奴隷のように扱われてしまったそうで。しかも、離婚したいと言っても断られ、離れることは許されず。しまいには監禁されてしまったらしくて。一度は何とか脱出するも連れ戻され、現在も奴隷同然の扱いを受け続けているとのことです。



◆終わり◆

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