私と王子の婚約を破棄させようとして失敗した妹の末路~可哀想ではありません、余計なことをするからです~
私には婚約者がいる。
名はエルベールといい、彼は国王の息子――つまり、王子なのである。
私たちの関係は良好。おかしなことはまったくないし、お互い誠実に関係を築くことができていて、順調そのものである。
ただ、私の妹であるリネアは、私とエルベールの関係を良く思っていなかった。
なぜなら、彼女は、私の場所に自分が収まりたかったのである。
それができなかったことを彼女はずっと根に持っていて、それで、私とエルベールの関係を良く思っていないのだ。
そんなことで恨まれても理不尽としか言い様がないが……。
◆
私とエルベールの関係を壊そうと思ったリネアはエルベールにこっそり近づき私の悪い話を吹き込もうとした。
姉は裏で他の男とも関係を持っている、とか。
姉は幼い頃からずっと私を虐めていた、とか。
そんな嘘を吹き込んでいたようだ。
だがエルベールはそんな嘘には騙されなかった。
妻となる人に関する嘘を言い広めようとするリネアのことをエルベールは許さなかった。彼は怒っていたのだ。彼は指示を出し、リネアを牢へ送った。以降、リネアは、生涯牢の中で生きることとなったようだ。
それと、これは私は知らなかったのだが、エルベールに嘘を吹き込もうとした当時――リネアには婚約者がいたそうなのだが、リネアが牢送りとなったことでその婚約は破棄となったらしい。
もっとも、リネアがどうなろうと私にとってはどうでもいいことだ。
彼女が婚約破棄されようが。
彼女が牢に入れられようが。
正直そこまで興味がある話ではない。
それに可哀想ではない、余計なことをするからそういうことになるというだけのことだ。
リネアだった、私とエルベールの関係を壊すようなことをしなければ、こんなことにはならなかった。しかし彼女はリスクを冒してでも私たちの関係を壊そうとした。だからこうなった、ただそれだけのことだ。
◆終わり◆




