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婚約破棄後、巡り会う。~それは運命の出会い~
「君なんてもうどうでもいい。婚約は破棄とするから、さっさとどこかへ消えてくれ」
その日、私は、まともな理由もなく婚約破棄されたのだが……。
切なくて夜中に家の近くにある湖の畔へ行っていると、一人の青年に声をかけられた。
「あの……こんな時間にどうして?」
「ええと、その、少し……切ないことがあって」
「そうですか。なら僕と同じですね」
「同じ?」
「はい。実は僕もそうなのです。少し嫌なことがあって」
「偶然ですね。……まるで運命の出会いみたい」
その時はまだ未来のことなど知らなかったのだけれど。
結果的に、私は彼と結ばれることとなった。
あれから数年が経った今も、彼と共に生きている。
「あの日、声かけてくれてありがとう」
「そんな。感謝するのは僕のほうだよ。出会ってくれてありがとう」
◆終わり◆




